潤いすぎる苦悩。手汗ですけど、何か。

潤いすぎる苦悩。手汗ですけど、何か。

 

 

突然ですが、カミングアウトします。僕、多汗症なんです。

 

 

多汗症とは、頭部、手のひら、脇の下、足の裏などに異常に発汗する病気です。このうち、手のひらに日常生活をするうえでいろいろな障害をもたらすほど発汗するのが、手のひらの多汗症です。

病気といっても汗が普通の人より多めに出るだけで、汗が出ていないときもあります。汗が多めに出ること以外はいたって健康です。

 

症状のレベル(手のひらの場合)

レベル1:湿っている程度。見た目にはわかりにくいが、触ると汗ばんでいることがわかる。水滴ができるほどではないが、汗がキラキラと光っている。

レベル2:水滴ができているのが見た目にもはっきりとわかる。濡れている状態。しかし汗が流れるところまではいかない。

レベル3:水滴ができて、汗がしたたり落ちる。

参考:金沢医科大学

ちなみに僕は、レベル1とレベル2の間くらいです。

 

多汗症原因

原因はまだはっきりとは解明されていませんが、交感神経(自律神経のひとつで、新陳代謝を活性化する神経)の機能亢進の状態が続くことで汗を分泌する腺(エクリン腺)が活性化されて、多量の汗が分泌されるのです。 なお、精神的刺激や緊張がそれほど強くなくても発汗するのが手のひらの多汗症(手汗)の特徴です。

参考:四谷メディカルキューブ

 

多汗症の治療

多汗症は簡単な手術で交感神経を遮断することによって治療できるのですが、代償性発汗と呼ばれる副作用があります。手のひらの汗が止まる代わりに、ほぼ確実に、背中や太ももなどから大量の汗が出るようになります。

多汗症の割合

人工の約5%が手のひら、約3%が足裏、約6%が脇の多汗症を持っていると言われています。

周りの20人のうち3人はいずれかの症状を持っているということになります。

 

多汗症の人でも人によって汗をかきやすい部位が異なってくるのですが、僕は頭部、手のひら、脇の下、足の裏の四箇所すべて汗をかきます。つまり四冠王ですわ。運動した場合は、例外なく体のすべての部分から人の倍以上の汗が出るので、むしろ完全体ですわ。僕のことはセル(ドラゴン―ボールのキャラ)って呼んでください。

 

僕の体験を基に、多汗症の人たちがどんな悩みを抱えて生活しているのかを見ていきましょう。

 

 

 

一番最初に僕が手汗のことで覚えているのは、小学3、4年生のときです。

友達と指相撲をしていて、指相撲で絶対に負けない画期的な方法を思いついたのです。

「オレ、絶対に負けない必殺技あるぜ」

といってわざと友達に指を押さえさせると、カウントが始まりました。その間に僕は呪文を唱えました。

 

 

 

「いでよ、手汗(神龍 シェンロン)」

 

 

 

するとすぐに僕の親指は潤い、簡単に友達の親指からすり抜けました。その直後に友達の親指を抑えるのですが、同じくヌルッと逃げられてしまいました。

絶対に負けはしないが、絶対に勝てない必殺技でもあったのです。誰得(だれとく)?

 

 

 

僕が小学生の頃、両耳を意識的に動かせる友達を羨ましく思い、練習している内に僕も両耳を動かせるようになりました。

思えば、この指相撲のときに負けたくな一心で、今後の僕の人格形成に左右する無駄な能力『多汗症』を身につけたのかもしれません。当時は特殊能力を身につけたと喜んでいたのに、まさかこんな強力なコンプレックスになるとは・・・。

 

 

 

僕は中学生の頃まで野球をしていたのですが、小学生の頃は手袋が認められていないため、バットを握る前にいつも地面に手をこすりつけて砂でコーティングしていました。

僕にとって砂は泥遊びするような軽々しい存在ではなく、「スイングでバットが飛ぶーーーバットがピッチャーに直撃して死亡ーーー少年院行き」という「ヒットなのにアウトになるという理不尽な未来」から僕を守ってくれる守護神でした。砂神様、あのときは大変お世話になりました。ありがとうございました。

 

 

 

中学生になると、野球では手袋が認められていたため問題はなかったのですが、多汗症の症状がひどくなり、それ以外のことで問題が多発するようになりました。

多汗症の流れとして、自然と汗が出てくるのですが、汗が出ることで精神的に追い込まれます。止まれ、止まれと思うほどさらに汗が出てきて悪循環になるのです。

 

 

 

プレッシャーのかかるテストでは、答案用紙が手汗でふやけてしまいます。ひどい場合には、湿った答案用紙に字が写らず4Bの鉛筆がHB以上の薄さになったりしました。

そして、中学生といえば恋ですよね。僕にも念願の彼女ができたのですが、手汗が気になって絶対に手は繋げませんでした。

 

 

 

僕が通った中学と高校では体育祭でフォークダンスがあったので、練習や本番では本気でこの世から消えてしまいたいと思いましたね。フォークダンスではどんどんペアが入れ替わっていくので、僕も男子から人気のかわいい女子と当たったのですが、手汗が気になってまったく楽しめなかったですよね。

男なら普通は女の子に触れたいと思うのですが、僕は、触れたくない、触れるんじゃねぇ、触れたらしばくぞ、くらい思いってましたからね。

もし僕がイケメンなら、女子は濡れてしまうことがあるかもしれないのですが、この場合、完璧に僕のほうが濡れてましたよね。手ですけどね。(この年代にはまだ早すぎるか。笑)

 

 

 

 

高校を卒業してサッカー留学でブラジルへ行ったり、ワーホリでカナダに住んだりしたときは、握手の文化でさらに困りましたが、なんとか凌いでいました。

問題は日本にいるときなんです。以前と比べて症状は少し軽くなったように思うのですが、まだまだ現役です。

 

 

 

握手は心理学的にも相手に好印象を与える社交の場で非常に有効な方法なのですが、もし僕に握手を求めてくる人がいれば、僕の潤った手でビンタするか、占い師が両手で水晶の玉をさするように僕の両手で相手の顔をさすってベットベトにしてやりたいと内心思っていますからね。

手汗の手で握手してどうせ不快感を与えるなら、とことんまで不快感を味わせてやろうというひねくれですよね。

多汗症とともに育ったためにこういう性格になりました。ウソです。

 

 

 

ちなみに、僕が参加するホームパーティーで「一休さん(1人1枚ずつトランプをめくって1か9か3が出たら手を付き、最後の人が溜まったトランプをキープする。キープしているトランプの数が多い人の負け)」をやろうっていうやつがいたら、同様にビンタすることになるから気をつけるように。

沖縄の結婚式で新郎新婦が退場する際、みんなで手を繋いで花道を作るというノリも嫌いです。次からは、テーブルの下に隠れようか考え中です。

 

 

 

もうひとつの困るシチュエーションが、サッカースクール(3歳から12歳まで受け入れている)のコーチをしているときです。時々、ペアと手をつないでパスやドリブルする練習、みんなで手をつないで輪になって円の中でパスする練習があります。

はっきり言って絶体絶命のピンチなんです。なぜかとういうと子供たちが正直者だからです。

「なんで手濡れてるの?」

と聞かれた瞬間に僕の意識は、別の次元に逃亡しています。

 

 

 

練習の時以外でも、未就学児の子供たちは隙あらば、すぐに僕と手を繋ごうとしてきます。はっきり言っておきます。

僕は誰とでも手を繋ぐような、そんな安っぽい男じゃないんだからね。

冗談です。正直に言いますと、手汗で嫌われないか不安なんです。たまらなく不安なんです。

 

 

 

手汗だけじゃなく、運動したら全身から大量の汗が出るので、子供たちがたまにツッコんできますね。

でも、本当にタチが悪いのは大人の方なんですよね。

「なんで手濡れてるの? なんでそんなに汗かいてるの?」

と、共感力ない人たちが無神経に言ってくるんですよね。はっきり言って、その言葉の暴力による精神的ダメージハンパないですからね。

 

 

 

最近認知症が進んできた僕のおばあちゃんも、握手したらストレートに言うんですよ。(別れ際には握手することになっている)

「あんた、なんで手濡れてるの?(バズーカ砲、発射)」

そこで僕は対策を講じました。アメリカンな感じでお互いの拳を突き合わせるという方法を取っておばあちゃんの鋭い口撃をうまくかわしています。

 

 

 

 

こんな体質だから消極的な性格になっちゃうんですよねー。過去に彼女ができて、手がドライのときに手を繋いでも、いつ汗が出てくるかと気になるとすぐに発汗が始まるので、すぐに手を離してしまいます。

甥っ子や姪っ子もよく手を繋ごうとしてくる。僕はスキンシップが嫌いなわけではないので、いつも葛藤しまくりです。

 

 

 

でも今回、解決策を思いついたので、発表したいと思います。

それは、「すべてのあいさつをハグに切り替える」です。

ハグには幸福度を上げたり、ストレスを減らしたりする効果があることが科学的にも証明されています。

決して、ハグして相手のおっぱいを体感したい(きっとこれが主な理由で幸福度が上がるんだと思う)とかそんなしょうもない理由ではありませんよ。僕は、科学的根拠を基に提案していますからね。

 

 

 

 

このブログを読んで多汗症の人たちが「私はひとりじゃない。こんなアホな仲間がいるんだ」と勇気づけられて、多汗症について理解してくれる人が増えて、さらに、世界中でハグだけが唯一のあいさつになることを切に願っております。

さもなくば、物理的にも精神的にも、僕の多汗症については触れないでください。

 

 

 

 

 

僕、濡れてるんで。

 

 

 

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