この日、ビアンカがブラジルに帰国することが決定した。
ビアンカはブラジルで父親と一緒に仕事をしているらしく、
このバリでもしばしば父と連絡を取っていた。
ビアンカは仕事でブラジルへ戻ることになって、残念ながら
ここで離脱してしまう。
面倒見のいい兄マルセロが、バリ島のデンパサール空港までしっかりとビアンカを送り届ける。
朝一、みんなでビアンカをホテルで見送って、マルセロがビアンカを連れて空港へと向かった。
今日は天気が良いので、残ったメンバーでドリームビーチに再チャレンジだ。
オレとゆうや、リッキー、ジョッタとソフィーでドリームビーチへ向かう。
駐輪場にバイクを停めて、ビーチへ続く階段を降りていく。
途中でオレのそっくりさんを見つけたので、とりあえず一緒に記念写真。
階段を降りてビーチにたどり着くと、ソフィーは近くの木の陰で本を読み始めて、自分の世界に入る。
日本では殆ど見たこと無いが、海外あるあるで、ビーチで本を読むパターンのやつだ。
まあ、そっとしておいてやろう。
ジョッタはビキニ姿になり、みんなの荷物を見張りつつ日光浴を始めた。
せっかくビーチに来たのに、泳がないんかい。
リッキーは荷物を置くとすぐに海へ突っ走って、勢いよく飛び込んだ。
これぞ、ビーチに来た時の行動の模範解答である。大正解。
オレとゆうやも荷物を置いて、持ってきていたサッカーボールを持って海へと走っていく。
サッカーボールを見るなり、興奮したリッキーが一緒にボールを蹴ろうと、すぐに海から跳び上がってくる。
リッキーも混ぜて、3人で一緒にパスしたり、ボールを落とさないようにリフティングしたりと、ボールと戯れる男たち。
純粋に楽しいのだが、華がなくてちょっと寂しい。
オレはときどき、背中や頭にボールをのせたり、いろいろなリフティングの技をリッキーに見せびらかせて、ドヤ顔でアピールした。
その技に驚きの反応を見せるリッキーだが、オレが本当にアピールしたかったのは周りにいる金髪のビキニお姉さんたちだということを、リッキーは知らない。
しばらくボールで遊んでいると、あまりの日差しの強さにすぐに体がヒリヒリと焼けるような感覚がして、ついには耐えきれずにオレは海に飛び込んだ。
ジュー!
っと音が出そうなくらい、海水によって火照った体が冷やされていく。
最後に海に入ったのがいつか覚えてないくらい、久しぶりに海に入ったゆうやの興奮した声がオレを呼んでいる。
「ゆうま、この海は波が高くてめっちゃおもしろいよ」
確かにドリームビーチは、他のビーチよりも波が高くて泳ぎ甲斐がある。
子供のころに行ったプールの人工の大波を思い出す。あの頃の楽しい記憶が蘇って、急にオレのテンションが上がって波に向かっていった。
大きな波が来るのに合わせて、大きくジャンプして波を交わす。
ゆうやと一緒に何度も何度も大波を交わした。
単純な動きだがめっちゃ楽しい!!
こんなに楽しいのに、ジョッタとソフィーは全く海に入ろうとしないのは残念だ。相変わらずソフィーは読書、ジョッタは日光浴をしている。
リッキーは珍しく、おとなしくジャンプしてはしゃぐオレたちの後ろでのんびり浮かんでいた。
ジャンプしすぎで疲れ果てたので、海から上がって少し休むことにした。
だが、海から上がるとすぐに、日焼けによる体中のひりひり感が戻ってきた。
結構長い時間、海に入っていたので顔も焼けてしまって、これ以上は皮膚が耐えられそうもない。
そろそろお腹が空いてきたので、みんなでビーチの奥の屋外にある屋根付きレストランへ移動した。
マルセロもビアンカを空港へ送り届けたあとに、ここで合流予定だ。
一同はビンタンビールで乾杯して、マルセロの到着を待つのだった。