サイトアイコン ユウマのドキドキ、ワクワク大冒険記

誘拐されたメンタリストゆうま

 

 

今から7年前の2012年、僕はワーホリ(ワーキングホリデーの略。観光や勉強、仕事ができる18〜30歳までが取得可能な1年(国によっては2年)有効なビザ)で、カナダのバンクーバーに住んでいました。

 

僕は1年の期限付きといはいえ、当時憧れていた大都市での生活をバンクーバーで実現していたのでした。

といっても、ダウンタウンと呼ばれる都心部から少し離れたところでしたけどね。

 

だって、都心部の家賃はアホみたいに高かったですもん。

 

 

それはさておき、僕のバンクーバーでの週末の夜の過ごし方といったら、全世界の同年代の若者同様、友達と飲みに行くことでした。

ある時ははパブに飲みに行ったり、ある時はナイトクラブに出かけて終バスに乗って帰っていました。

この終バスというのが厄介で、当たり前なんですけど、時間が決まっているんです。

 

 

沖縄に住んだことがある人ならわかると思うんですけど、沖縄では飲みに行ったらタクシーか運転代行(あなたの車をドライバーが代わりに運転してくれるサービス。距離に応じて料金が変わる)が一般的じゃないですか。

だからいつ帰ろうが自由なんです。時間に縛られないといのうは、沖縄県民にとって大事なことなんです。(あたかも沖縄県民みんなの意見のように主張して、ウチナー(沖縄)タイムを正当化しておきます)

 

 

今はわかりませんが、2012年当時はマンスリーパスというものがあって、一度購入したらその月は、電車もバスも乗り放題でした。

ですので、タクシーに乗るのはお金の無駄遣いだったのです。料金も高いしね。

 

 

ある週末の夜、僕は友達とナイトクラブに出かけてワイワイ騒いでいるうちに、いつの間にか終バスの時間が過ぎていることに気がつきました。

こうなってくると、もうタクシーしか家に帰る手段がないので、時間を気にせず、さらに遅くまでお酒を飲んで騒いでいました。

ちなみに、家までは歩いて帰ると1時間以上かかります。

 

 

遅くまで楽しんだ後、クラブから徒歩圏内に住んでいる友達と別れ、僕はいよいよタクシーを拾おうと道に出て手を上げました。

すると、僕が乗るつもりの20メートル離れているタクシーよりも先に、1台の一般車が停車します。

 

 

「どこまでだい?」男が車の窓から顔を出して、僕に聞いてきす。

「〇〇までだけど・・・」僕は反射的に応えました。

「オーケー、よし乗れ」

男が後部座席を指さしながら言いました。

 

 

今思い返しても、このような怪しくて危険な状態にも関わらず、なぜ僕が車に乗り込んだかはわかりません。

おそらく、僕の幼少期に、誰にも怒られないようにと、自分の意見を押し殺して周りの人に言われたことを素直にこなしてきたことに関係するかも知れません。

 

読者にアピールしているわけではありませんが、良く言えば、僕ってものすごく素直なんです。悪く言えば、ただの「指示待ち人間」なんですけどね。

 

 

まあ、実際のところ、たくさんお酒を飲んでいたので、僕の研ぎ澄まされた判断能力が鈍っていたのでしょう。

とにかく、僕は誘拐されたのです。

 

 

男の車に乗って車が走り出すと、僕はすぐに我に帰り、事の重大さに気づきました。

やばい、知らない男の車に乗っている。どこに連れて行かれるかもわからない、金を出せと脅迫される、僕の両親に連絡させられて身代金を請求されるかもしれない、顔はアジアだけど僕は華僑じゃないぞ(金持ち中国人)、それともただぼったくるだけなのか、などと内心ではパニックになっていました。

 

 

しかし、さすが僕といいますか、機転を利かせた行動を取りました。これでもだてに、1時間に7件以上の殺人事件が起こるブラジルで1年以上生活してたわけじゃないんでね。

この頃は、多読の週間が身につく前で本からの心理学の知識なんて皆無でしたが、生まれ持ったメンタリストの素質というか、メンタリストゆうまと名乗ってもいいんじゃないか錯覚するほどのテクニックを駆使したのです。

 

 

人の心を操るには、相手の心境(心の状態)を把握しなければなりません。

相手の心境を知るために、まず自己開示していきます。

 

 

「僕はゆうま。日本からワーホリでバンクーバーに英語を勉強しに来たんだ。あなたは?」

「オレはサムエル(仮名)。数年前に家族と移住してきた。そうなのか、日本からの留学生なのか。オレは日本人が好きだぜ。女限定だけどな。ハッハッハッハッ」

 

 

怖い怖い、笑いが不気味すぎる。性犯罪者でもあるのかもしれない。てことは、男であるオレは金を奪って殺される可能性もある。(そんなにたくさんの現金を持ち歩いてないけどな)

待てよ、家族がいるのか。てことは、家族のことを話させれば、家族の顔が浮かんで殺人などできなくなるはずだ。

 

 

「家族と移住してきたんですね。子どももいるんですか?」

「おう、息子と娘がひとりずついるぞ。ほら(写真が入ったペンダントを見せながら)」

「かわいいですね。何歳なんですか?」

 

 

 

しめしめ。これで、パパー、人殺しなんてやめてよ、お金なら私もがんばって働てなんとかするからさ、と子どもの顔が脳裏に浮かんで、僕を殺せなくなるはずだ。

子を持つ親として、子どもが誘拐された親の気持ちがわかるはずだから、僕の両親に連絡して身代金を要求するということもないはずだ。そもそも、オレ24歳(当時)だし。

 

 

あとは、いくら払えばいいかという問題である。僕の財布の中には、20ドル札1枚と10ドル札1枚の合計30ドルしか現金が入ってない。

 

「そういえば、家までいくらになりますか?」

「30ドルでいいぞ」

 

 

ーーー高い! 普通のタクシーでも10ドルちょっとだぞ(過去に何回か終バスを逃してタクシーに乗ったことがある)。ていうか、現段階での全財産じゃないか。それは困る、非常に困るぞ。

 

 

殺されるリスクは減らしたから、値段交渉できるまでになっているはずだ。

 

「普通のタクシーなら10ドルちょっとなんですけど、もっと安くなりませんか?」

「そうなのか、わかった。20ドルでいいぞ」

 

 

ーーー仕方ない。正規の料金との差額はオレの命の分としよう・・・オレの命、やすっっ・・・やっぱり、今後このような軽率な行動を取らないための授業料と認識しよう。

 

 

「じゃあ20ドルでお願いします」

「りょうかい!」

 

 

その後、僕は男からの日本についての質問にあれこれとこたえ、終始和やかなムードで会話が弾んだ。

しばらくして、無事に家までたどり着いた。

 

 

 

僕をメンタリストゆうまと呼ぶか、素直さMAXのMAXゆうまと呼ぶかは、あなた次第です。

 

ちなみに、人の心を操るなんて高度な技術、僕は持ってませんからね。もしそんなの使えたら、ビル・ゲイツが座っている世界一の大富豪の椅子は、今頃、僕のものでしたからね。

 

 

 

 

 

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