この本の著者アンダース・エリクソンは心理学者で、超一流の人たちは超一流になるまでに1万時間練習しているというマルコム・グラッドウェルの「天才! 成功する人々の法則」に出てくる「1万時間の法則」の元となった研究をした人です。
前回紹介した脳科学の観点から天才たちを解説した「天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる」もおもしろかったのですが、いよいよ本家本元に辿り着いたわけです。
天才は凡人と何が違うのでしょうかね。実は才能以外の部分にあるみたいですよ。
僕が気になった、限界的練習、オレって〇〇が苦手なんだよねー、先天的な才能は存在するのか、の3つをピックアップしていきます。
限界的練習
著者は「生まれつきの才能などなく、誰でも限界的練習を続ければ能力を伸ばせる」といいます。
超一流は1日の練習時間は短いが、早い年齢で練習を始めてるパターンが多いんですよねー。
では、限界的な練習とはなんでしょうか。
限界的練習はできるかできないかギリギリのレベルの練習をすると同時に、以下の3Fが重要なポイントとなります。
Focus(集中)
超一流たちはだらだらと練習せず、短時間で最大の集中力を使って練習します。
Feedback(フィードバック)
できているかできていないかの明確な基準を設けて、コーチからしっかりとフィードバックをもらいます。
コーチがいなくても、自分自身を観察(セルフモニタリング)して何が成功で何が失敗かを判断していきます。
Fix(ミスを修正する)
超一流はできることよりも、できないことやミスを修正することに多くの時間を費やします。
ちなみに、たくさん経験を積んでいる医者が必ずしも良い医者かといえばそうでもなく、限界的練習(勉強含む)を続けているかによるそうです。
だって医者になりたての人の方が最新の医療技術を身につけて場合もありますよね。その場合、あぐらをかいて現状維持している医者が勝てるわけがありません。
オレって〇〇の才能ないんだよねー
この言葉よく聞きませんか?
エリクソンさんが音痴について調べたそうです。
脳の障害で音の違いやリズムがわからない、といった人がごくわずかに存在するようですが、自分を音痴だと言っている人たちにその障害は見つからなかったそうです。
つまり、〇〇の才能ないんだよねー、は〇〇の練習を十分にしていない、経験したことがないに言い換えられます。
それを証拠に、適切な練習を積むとみんな歌唱力が向上したそうな。
偉大な作家や画家、音楽家などは、有名な作品を出すまでにそれ以上の駄作を出しているみたいですよ。かなり努力してます。
そして、すべての歯車が噛み合った時に名作を生み出すんですね。
先天的な才能は存在するのか
エリクソンさんの主張すると先天的な才能は存在しない、ということになりますが、他の研究では覆されているみたいですよ。
練習や勉強だけでは埋まらない差が天才と凡人にはあったそうな。
参考記事
「1万時間の法則」がまたも追試でコテンパンにされてた件
でもだからといって、限界的練習の効果がないというわけではありません。どうせ同じ時間の練習をするなら効率良い方が良いに決まってますもんね。
しかし、僕が主張したいのは、子供たちと関わる親や指導者の人たちにはぜひとも才能で判断してほしくない、ということです。
なぜなら、才能があるように思える子には期待して、才能がないように見える子には期待しない、というのが無意識に行動に現れてしまうからです。
そうなってくると、期待されない子は期待される子よりも圧倒的にポジティブな声かけが減り、その子の成長スピードが遅くなってしまうからです。
(実際に実験から得られた結果です)
一生懸命描いた汚い絵が両親に褒められて絵に夢中になり画家になった、など、幼少期の声かけってその後の人生に大きく影響することもありますよね。
サッカースクールのコーチである僕もそうですが、子供にかかわるすべての人たちに知っておいてほしいことですね。
結論。
多少個人差はあるけれど、人間は練習次第でいくらでもスキルを身につけられるんで、気軽にチャレンジしてみるべき。
スラムダンクの安西先生も言ってたじゃないですか。
あきらめたら、そこで試合終了だよ。と。
僕も現在、動画の編集技術を練習しているところです。
ちょっと覗いてってくださいよ。
才能、一流に関するおすすめ記事はこちら↓
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この本おもしろかったぞ!
『自分のことは自分が一番知っている』は間違い。
人間はデフォルトで自分の能力を実際よりも高く見積もってしまいがち。
現在の正確な立ち位置を知り、目標達成を加速させるためにも『自己省察スキル』は必須。
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