僕たちは常日頃、見聞きしたものに反応して一喜一憂している。
この「心の反応」が人間らしさではあるが、「心の反応」の仕組みを理解していないと人間関係や過去の失敗、将来への不安などに苦しめられるのである。
本書では原始仏教(初期仏教)を通して心が反応する仕組みを理解して、それにどう対処するかということを学ぶ。
もちろん学ぶだけではスキルにはならないので、日常生活で実践して本書のタイトルのように「反応しない練習」をするのである。
まず初めに、僕が本書から受けた原始仏教の印象を簡単に述べておくとする。
原始仏教は「僕たち各々の成長」に焦点が当てられていて、他の宗教に見られるような絶対的な神を崇めるということがない。それが他の宗教と決定的に違うところだろう。
起源は約2500年前にもかかわらず、現代科学で明らかになっている効果的なストレス対処法、メンタルトレーニングやコミュニケーション術が含まれている。
あくまで現実主義で自分にとって合理的な考え方をする、というのがその時代からするとかなり科学的な発想で驚きである。
下記にあげる三点が主な要素だろう。
上記にあげたものを知っている人ならわかるだろうが、これら三点で重要なのが、自分が今何を感じ、何を考えているということを認知する「メタ認知」である。
例えば、会社で上司に叱られて「この上司は僕のことが嫌いなんだ」と感じたとしよう。
この場合、事実は「上司に叱られた」というだけで「僕のことを嫌い」というのは憶測でしかない。
もしかしたら、上司は出勤前に家庭内で問題があって機嫌が悪かったのかもしれないし、仕事のトラブルが重なってイライラしていたかもしれないし、単に自分が叱られるだけのことをしたってこともある。
FBI捜査官など訓練した人でも人間の感情や心理を読めるのは50〜60パーセント(正確な数字は覚えてませんが)くらいなのに、僕たち一般人が相手の感情を正確に読めるはずがありません。
それなのに、僕たちは勝手な憶測に影響を受けて数時間や数日、数ヶ月と引きずることもある。
そうなってくると、目の前のことに集中できないので生産性が落ちたり、今を楽しむ、ということができなくなるだろう。
これも全部、心が反応してしまっているからである。
心の反応に気づくことで今の自分の状態を知り、しっかりと対処していくことで前に進めるようになる。
人間だから悩むこともある。だけど、悩んでる暇があったら対処法を考えて試して問題解決して、新しいことに挑戦したり、楽しい時間を過ごすことに費やしたいものである。
だって時間は有限ですもん。
僕の場合、以前から瞑想(を続けてメタ認知力が鍛えられてきたこともありますが、「あ、オレいま緊張してる」「今気まずく感じてるな」など、自分自身の「いまの状態」を冷静に分析するのが楽しくなってきた。
この自分の状態に気づくというメタ認知を鍛えることで、凡人が天才に勝つ唯一の方法といわれる「クリティカルシンキング(批判的思考)」を身につけることも可能になるだろう。
本書をあなたの人生を変えるきっかけにするのもいいかもしれない。
まあ、どう行動するかはいつも自分次第ですけどねー。
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