クレイジーハロウィン第4話 ハングオーバー。なんだここか・・・

クレイジーハロウィン第4話 ハングオーバー。なんだここか・・・

 

 

誰かがドアをノックする音で目を覚ました。時計を見てみると、時刻はすでにチェックアウトの時間を指している。一瞬自分がどこにいるかわからなかったが、辺りを見渡してゲストハウスのベッドの上だとわかった。

きっと清掃員が来たのだろう。すぐに出ることを伝えて、とりあえず時間をかせぐ。

 

 

 

ひどい頭痛がしている。どうやら二日酔いのようだ。頭がぼーっとしているが、だんだんと昨夜の公園のあとの記憶が戻ってきた。

オレたちは、公園でダンスバトルしたあとにクラブへ行き、そこでもさらにはしゃいで、宿にもどったのは朝方5時。ほぼ全員酔っ払っていたが、オレもけっこうな勢いで酔っ払っていた。帰る頃には千鳥足になっていた。

 

 

 

そんな中、オレを宿まで無事に送り届けてくれたのがヒェジュンだった。沖縄のウチの民泊に来たときに、オレが沖縄観光にいろいろ連れて行ったことに恩を感じていたのだろう。ヒェジュンのおかげで、迷子になることなく宿について、目を覚ましたのがベッドの上ということだ。彼女にお礼のメッセージを送ってから、チェックアウトの準備をした。

 

 

 

鍵を返してチェックアウトするためにフロントデスクに行くと、宿のオーナーと従業員が席について、これから一緒にオーナーの母親の手作りのご飯を食べるところだった。

「ランチ一緒に食べる?」

「え、いいの? はい、いただきます!」

 

 

 

オレも同じ席に着くとオーナーのパクさんが説明を始めた。

「彼女たちは、日本からワーキングホリデーで来ていて、ここで働いているんだよ」

オレは従業員ふたりに軽く挨拶して会釈すると、彼女たちも軽く会釈して、再び黙々とご飯を食べ始めた。無愛想なのかシャイなのかと思いながらも、オレにとってはちょっと辛い韓国の家庭料理を食べながら、パクさんの話に耳を傾けた。

 

 

 

パクさんはバックパッカーとして、世界一周したあとに韓国にもどってきて、このビルを買い取ってゲストハウスを始めたようだ。従業員はさっと食べ終わると、すぐに仕事に戻っていった。パクさんもすぐに片付けを始めて仕事に戻った。その前に、旅好き仲間・・・むしろ旅の先輩ということでFacebookで連絡先を交換しておいた。

 

 

 

パクさんに別れを告げて、このあとはエイミーと出かけることになっていたので、電車でエイミーの住むアパートへ向かった。1階の入り口でインターホンを鳴らしてみるが、全く反応がない。さらに数回鳴らしても音沙汰なし。まだ寝ているに違いない。仕方なく、電話をかけて彼女を起こそうと試みても、反応がなかった。

 

 

 

どうしようかとその場でしばくらく考えこんでいると、彼女から電話がかかってきた。

「ごめん! 今起きたの。ちょっと待ってて」

数分後、まさにいま起きたばかりと言わんばかりの表情で彼女が現れて、オレを部屋まで案内した。

 

 

 

部屋へ入ると、まず目についたのが、部屋の奥にかけてあるハンモック。アウトドア派な彼女の性格をよく表している。この部屋はメゾネットタイプらしく、部屋の奥には階段があって、寝室が吹き抜けの2階にあるようだ。

「すぐ準備するから、ちょっと待っててね」

そう言って彼女はシャワーを浴び始めた。

 

 

 

オレの目の前には、いくつもの写真が飾られたコルクボードが飾ってあった。どうやら、家族の写真のようだ。彼女の家族への愛情が感じられる。遠いアメリカから韓国へやって来て1年も住んでいたら、家族のことが寂しくもなるだろうなと思った。

 

 

 

彼女がシャワーを終えて、2階の寝室で支度しながら聞いてきた。

「そういえば、今夜泊まるところは決まってるの?」

「うーん、まだ決まってないよ」

「なら、ハンモックでいいなら、ここに泊まってもいいわよ。ただし、今日のディナーはゆうまのおごりだからね」

「はい、お願いします!」

 

 

 

そういうことで、今夜の寝床は、空中にぶら下がるハンモックに決定した。それから彼女の案内で、ソウル市内にある観光名所、キョンボックンと呼ばれる王宮へと向かった。