ブッダの怒りの沸点
- 2019.01.27
- クスッと笑える話
僕をよく知っている人ならよく分かると思うんですが、僕って怒らないじゃないですか。怒りの沸点が存在するのか、この世にゆうまを怒らせられるものが存在するのかっていうくらい、全然怒らないじゃないですか。
僕は悟りを開いたブッダの境地に達してるんじゃないかって思うんですよ。
僕の生きる理由は、この世に僕を怒らせられるものが存在するのか、世界をくまなく探すことだと思うんですよ。だから、僕は旅に出るのです。
そんなユッダが、スーパーへと旅立って買い物をしたあと、長らく我慢していた、今にも漏れそうなしっこを大量放出するためにスーパーの外側にあるトイレに駆け込んだときのことです。
トイレはスーパーの駐車場のすぐ目の前にあって、そこにはガラの悪いおっさんが自分の車にもたれて立っていました。
僕はしっこが漏れそうだったので、おっさんのことは気にせずにトイレの扉を開けようとしたところ、鍵がかかっていました。
トイレの中には洋式トイレがひとつあるだけで、どうやらおっさんは順番待ちしているということに気づきました。
ああ、このおっさんの次か。
しょうがないなと思いながら、催す尿意を無理やり抑え込んで、待ち時間の有効活用法を心得ている僕は、スマホを取り出して電子書籍を読み始めました。
３分後……
長さよ！！！（沖縄の人のツッコミ方、なんて長さだの意味）
と、車にもたれかかるおっさんが、イライラしている様子でつぶやきました。
まあまあ、おっさん、落ち着けよ。中にいる人は下痢かもしれないし。と思いながら、ユッダは視線をスマホに戻しました。
１分後……
イライラして、あたりを行ったり来たりして歩いていたおっさんは、中の人を急かそうとドアを強めにドンドンとノックしました。
すると、当たり前ですが、コンコンと中から軽めのノックが返ってきました。
おっさん、落ち着け。中の人を急かしては、出るものも出てこぬぞ（人もうんこも出てこぬぞ）。ユッダは心の中で思っていました。
おっさんはそろそろ持ち堪えきれなくなってきたようで、車のボンネットを開けて車の点検をし始めて、気を紛らわせようとしていました。
それでもトイレの中の人は出てきません。
さらに３分後……
長さよ！！！
とつぶやきながら、おっさんはさっきよりも強めにドアをノックしました。
カッチーーーーーーーーン！！！
と僕の頭の中で何かのスイッチが入ったのを感じました。それと同時に、
こんなちっぽけなことでキレんけ！！！（こんな小さいことでキレるんじゃない）
仏の顔も三度まで。ユッダ、キレちゃいましたよね。
でも、そこはさすがユッダと崇められるほどの僕は、怒りの感情を表に出さずに、静かに無表情で心の中でキレていました。
１分後、ようやく中から人が出てくると、二回もノックされて、うんこという至福のひとときを邪魔されたからか、不機嫌な表情でその人は去っていきました。
やっと中に入れるイライラしていたガラの悪いおっさんを横目に、僕は思いましたよね。
お前のこれまでの愚行は、お前自身を苦しめるのだぞ。
長い！！！と私に聞こえるようにツッコんだお前は、自分自身は早く用を足してトイレから出ないといけないという縛りを生んだ。
よって、おっさんが早く出てくると思うじゃないですか。
早く出てこないんですよ。しかも、こういう時の時間の流れって実際よりも異様に長く感じるんですよ。
体感時間３０分後……
長さよ！！！
言っちゃいましたよ。自然とユッダの口から出ていましたよ。ほら、よくあるじゃないですか。隣にいる友達が口ずさんでいた歌が、数分後にはいつの間にか移っていて、無意識に自分が口ずさんでいるやつ。あれですよ。
おっさんから「長さよ！！！」が移ったよ！！！
体感時間３１分後にようやくおっさんが出てきて、漏らすことなく僕も無事に用を足せました。
今回の旅で、おっさんの三度目の愚行でキレてしまったことによって、僕はユッダであることが決定的となり、キレている人に対してキレるということが判明しました。
もうひとつ重要なことは……
自分のことを悟っていると思い込んでいる僕はユッダではなく、イタイやつだということを悟りました。
合掌！ カッチーーーーーーーーン
この記事がおもしろかったら、いいねやシェアお願いします。
-
前の記事
ゆうまの本を購入することの本当のメリット 2019.01.26
-
次の記事
言葉のおもしろい話 2019.02.01