内鍵よりも酷い外鍵
それは、僕がコーチを務めるサッカースクールの練習のときに起きました。
いつもは屋内で練習しているのですが、この日はたまたま屋外での練習で、かつ小雨が振り続けるという条件が重なり事件は起きてしまいました。
この日は僕が練習を担当する日で、基本的には僕が一人で見ることになっていたのですが、Yコーチもたまたま居合わせていました。
状況を説明しますと、練習に必要なマーカーやコーン、ボールだけを外に置いて、最後の紅白戦に使うビブスは雨で濡れないように、グランドのすぐそばの駐車場に停めてある僕の車に入れてありました。
車の鍵はリモコン付きで濡れたらまずいので、僕のお気に入りの隠し場所、車の右フロント側赤丸の『サスペンションの間』に挟んでおきました。
*写真は整備したときのもので、もちろん今回はタイヤはついたままです。ボディーとタイヤの間からサスペンションに手が届きます。
これがすべての発端となりましたね。
練習も終盤に近づき、最後の紅白戦をするために車内のビブスを取るために、鍵をサスペンションから取ろうとしたときでした。
ポロリ。
鍵は僕の手をすり抜けて落ちてしまいました。しょうがないなぁ。どうせ地面に落ちてるっしょ。
僕は車の下を覗いてみました。
ない……
どうせサスペンションとか、すぐ下のブレーキのとこに引っかかってるでしょ。
ない……。そして、タイヤが邪魔で奥まで手が届かない……
暗くてどこにあるのかまったく見えないし。
さらに運が悪いことにスクールの生徒たちが集まってきました。
生徒A「コーチ何してるの?」
僕「・・・えっとね、鍵をここに隠してたんだけど、落っこちてどこかに引っかかちゃった」
生徒A「なんで!?」
やばい、内向型の僕がこれまでに少しずつ彼らと築き上げてきた人間関係が、この一件で変人扱いされて崩れてしまう。
(がんばれ、オレ。平静を保つんだ!!)
僕は自分自身を奮い立たせてこの場を凌ぐ解決策を考えると、すぐに思いつきました。
僕「Yコーチ、ビブス持ってる? オレのビブスは取り込み中で(いや、車の中に閉じ込められ中)で使えないから借りてもいい?」
Yコーチ「いいですけど、どうしたんですか?」
僕が事情を説明すると、「何やってるんですか?wwwwww」とYコーチ大爆笑。
とりあえず僕はチーム分けをしてYコーチから借りたビブスを配り、紅白戦を始めさせた。
彼らが紅白戦をしているあいだに鍵を救出する作戦だ。
Yコーチ「ユウマさん、これで新しいブログネタができましたね」
僕「・・・」すでに必死で鍵を探しているので返す言葉も出ない。
Yコーチ「ブログ用に写真撮ってあげますよ」
そうしてYコーチが楽しそうに、タイヤハウス(タイヤ周りのスペース)に腕を突っ込み必死で鍵を探している僕の写真を撮り始めた。
それが、これだ。ワン、ツー、スリー・・・
なんでお前嬉しそうなんだよ! というツッコミを入れたかったが、すでに腕をタイヤハウスにツッコんでしまって手が離せない。
しばらくサスペンション周りを探ってみたがらちがあかないので、別の方法を考えることにした。
こんなときこそ、僕が海外旅行で数々のハプニングに遭遇する度に磨かれてきた問題解決能力が活かされるのだ。
問題が起きたときは感情的にならずに、状況を冷静に分析して考えられる対処法をひとつひとつ試していくことが肝心である。
車体を持ち上げれば下から覗けて手が届く、ということで、まずはジャッキアップだ。これで見つからなくてもタイヤを外せば必ず鍵は見つかる。
そう思うと、心に余裕が出てきた。
さて、トランクからジャッキを・・・
出せない。車には鍵がかかってる。オレはまだ焦っているのか?
この思考の流れをYコーチに言うとバカにされるので内緒にして、ジャッキを借りていいか訊いてみた。
Yコーチ「この車、ジャッキ無いんですよ。最近の車はパンク修理キットだけみたいです」
僕「・・・(最近の車の開発者、死ねばいいのに。サスペンションに鍵を置いて失くす人とかいるから、ジャッキは必要でしょうに。ほんとに何も考えてないんだから)」
もう一度繰り返す。問題が起きたときは、感情的にならずに、状況を冷静に分析して考えられる対処法をひとつひとつ試していくことが肝心である。
いたって冷静な僕は別の方法を考えることにした。
要は、鍵の位置がわかればいいのだから、スマホのライトでタイヤハウスの中を照らして探せばいい。
さて、オレのスマホを使おうか。スマホがあるのは・・・
SHIT!!(クソッタレ)
この思考の流れもなかったことにして、嬉しそうに写真を撮り続けているYコーチにスマホを借りた。
光よ、我に勇者の鍵のありかを知らせたまえ!!!
僕が心の中でそう唱えると、光は鍵のありかを示したのだった。
ロアアームと呼ばれるタイヤを支えるお皿のような部品の上に乗っかってましたわ。
幸いにも、車体の下から腕を伸ばすとロアアームまで届き、無事に勇者の鍵を救出できましたね。
とまあ、こんな事件が起きてたわけですが、鍵を救出するのに必死だった僕がもしひとりだったら、この話をブログに書こうなんて思わないわけですよ。
Yコーチがいてくれたおかげで鍵も無事救出できて、ブログ用の写真も撮れたわけですよ。
そういった意味では、彼は間違いなくこの話のキーパーソンでしたね。
Yコーチ + キー パーソン=ヤンキーパーソン
彼のことは親しみを込めてヤンキーとでも呼びましょうかね。
このネタを提供してくれたYコーチには、この御恩はしっかりと仇で返します。僕が困っているのに大爆笑してたんでね。僕、根に持つタイプなんで。
最後に報告があります。サスペンションに鍵を隠すのはやめることにしました。また今回みたいなハプニング起きたら困るんでね。
僕、失敗から学ぶ人なんで、サスペンションではなくロアアームに鍵を隠したいと思います。落としてもすぐ下は地面なんで、すぐに回収可能です。
全国の鍵をサスペンションに隠すみなさんも、隠し場所をロアアームに移行することをおすすめします。
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