【不思議な犬の世界】犬はあなたをこう見ている ジョン・ブラッドショー
- 2021.06.22
- 知識の宝物庫(読書記録)
あなたが自宅に帰っくると自分の愛犬が部屋を荒らしていた。
この場合、あなたは傷だらけのソファを指差して犬に罰を与えて理解させようとしますか?
もしそれが効果のないしつけの仕方だとしたら、むしろ、犬にただ身体的、精神的苦痛を与えているだけだとしたらあなたはどう思いますか?
世間でよく言われるような「犬に主人が誰であるか、上下関係をはっきりわからせないといけない」が実は間違っていることが研究でわかっています。
その考えは「オオカミは犬の祖先」というところから来ています。
しかし、この本を読んでいけばその考えが間違いであることを知り、犬との正しいしつけ方法やより良い関係を築くための接し方がわかっていきます。
この本が出版されたのが2012年となっていて2021年現在でさらに研究は進んでいると思いますが、それでもこの本が今までの犬についての情報や共通認識がどれだけ間違っていたかを思い知らされるでしょうね。
この記事では、以下のことをピックアップしていきます。
・犬の飼い慣らしの歴史
・犬が見ている世界
・選択的交配の影響
それでは次に進んでいくワン!
犬の飼い慣らしの歴史
野生のオオカミが人間によって飼い慣らされることによって、犬と人間との生活が始まりました。
しかし、すべてのオオカミが人間になつくわけではありません。
ではどうやって飼い慣らしていったかというと、僕たち人間でもいろんな性格の人がいるように、オオカミの中にも人に対して拒絶反応を見せにくい個体がいて、その個体を飼い慣らし、繁殖させていった結果、飼い慣らしが定着したわけです。
ちなみに、犬の化石は1万5000年前のものが最古のものとなります。
オオカミとは全く違った生活を送り、人間に慣れていった犬が1万5000年前から何百、何千、何万世代も続いてきているわけです。
現代の飼い犬の中で、遺伝子的にオオカミの特徴が残っているのはほぼないので、「地位を求める」などの習性は犬にはないそうです。
犬が見ている世界
犬と飼い主が物理的に同じ場所にいるとしても、犬と人間は違ったふうに世界を解釈しています。
飼い主は愛犬を人間のようにあつかったりしますが、それが裏目に出たり、犬にストレスを与えることもあります。
下記に犬の特徴を挙げてみます。
今に生きている
人間のように数時間、数日前など、過去の記憶をたどることができないので、あなたが帰宅した際に荒れた家のことで叱っても、なぜ怒られているのか理解できない。
よって、しつけをするには「良い行動を行った直後に褒めること」が重要。
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精神を病むと異常行動に走る
仔犬の時に十分に人間や他の犬と接する機会が得られないと、人間や他の犬を見た時に恐怖によって異常行動を起こすことがある。
逆に、飼い主に依存させすぎると、飼い主がいなくなった時に精神的に不安になって噛んだり、引っ掻いたり、鳴き続けるなどの行動を起こしやすくなる。
嗅覚中心に世界を認識する
犬の嗅覚は人間よりもはるかに優れています。しかも、一度嗅いだ匂いを人間が映像を記憶できるように、しばらく記憶しておけます。
人間が主に視覚で世界を認識しているように、犬は主に嗅覚を使って世界を認識しています。
といっても視覚能力がないわけではなく、人間よりも劣る程度です。
良い例が、犬を散歩につれていくと、いろんな匂いを嗅ぎまくることです。別の犬に会うとお互いに匂いを嗅ぎまくってどんな犬か判断しているわけです。
嗅覚に加えて聴覚も優れているので、人間には聞こえない周波数の音を聞けたりします(犬笛など)。
そんなわけで、人間にとってなんともない音でも犬にとっては騒音になったりすることがあります。
選択的交配の影響
歴史の中で人間が犬を飼い始めてからというもの、さまざまな犬種が生まれてきました。
当初は牧羊犬や狩猟犬など、特定の仕事に向いた特徴を選んでそれに見あった犬種を生んでいましたが、近年では見た目ブルドッグやチワワなど見た目重視の犬種も存在します。
しかし、人間による選択的交配を行なってきた結果、ブルドッグのように自然分娩できないなど、もし野生で生きていたとしたら明らかに不利な特徴を持ったりしています。ダックスフントやトイプードルなどが椎間板ヘルニアになりやすいのも、ひとつの例です。
自然界では「進化論」のダーウィンが唱えたように、生存に適した特徴を持ったものが生き残り、その個体が繁殖しつづけることによって環境に適した種が生き残っていきます。
これを自然淘汰(しぜんとうた)と言います。
これが犬にどんな関係があるかというと、例えば、犬では雑種や純血種がいます。
純血種の場合、純血を守るために近しい血統の中で繁殖させているので、人間では禁止されている従兄弟同士の結婚のようになり、遺伝子的に障害を持った個体が生まれやすくなってしまうのです。
人間は最良のパートナーを得たかもしれませんが、犬の視点から見てみると、決してプラス面だけでなくマイナス面もたくさんあるんですねぇ。
まとめ
犬は古くから人間と深く関わって生きてきました。
ですので、多くの愛犬家が愛犬を人間のように大切に扱っているのも理解できます。しかし、そこで明確にしておかないといけないのが、犬と人間は違った性質を持っているということです。
犬についての知識なしに飼い主の勝手な判断でしつけていては、ただ犬にストレスを与えているだけということもザラにあるわけです。
飼い主にとっても犬にとっても幸せな生活を送るためにも、犬についての正しい知識を知り、それを生かしたしつけなどをしてみてはいかがでしょうか。
そうすることによって、異常行動で手に負えないからと犬を捨てること飼い主の数も減っていくでしょう。
この本を読んで、犬の視点を理解してみましょう。
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最後に、アルゼンチンでの飼い犬との格闘の話も含まれる、ストレスを吹き飛ばすクスッと笑える話が盛りだくさんの「ワロタwww」をぜひチェックしてみてください。
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