クレイジーハロウィン第2話 クレイジー三人衆、ハロウィンに向け再集結なり。
- 2018.09.30
- 短編集
沖縄よりもはるかに寒い10月のソウルは、寒いのが苦手なオレには相当こたえた。
震えるベジータを見て、誰もベジータとハグしたがらなかったのかもしれない。今となってはどうでもいいことなのだが。
オレはこのとき既に、次のミッション「今夜泊まる宿を探せ」に集中していた。
とはいったものの、はて、いったいどうしたものか。
そこで思いついたのが、ソウルの韓国人の友達にたくさん宿がある地域を聞いてそこに行き、その地域の気に入った宿に宿泊するということだ。さっそく、ウチの民泊に泊まってくれたソウルに住む韓国人のヒェジュンに聞いてみよう。
しばらくして彼女から返事が来て、シンチョンという場所を教えてくれた。オレはすぐに電車でシンチョンに向かった。
シンチョン駅はホンデ駅よりもはるかに人が少なくて、オレにはこっちのほうが落ち着く。改札口から出て、あてもなく歩き始めた。
歩いて5分ほどすると、このエリアでひときわ明るい場所が見つけたので、角を曲がって奥へ進んでいく。すると、このエリアでもさらにひときわ目立つゲストハウスがあり、すぐに直感でそこに泊まろうと決断して、ビルの階段を上った。フロントはビルの2階にあり、フロントスタッフとひとりの若い女性が話していた。
女性はとても流暢とは言えないが、単語単語をつなげながら韓国語でスタッフと話しているようだ。日本語なまりの韓国語とアジア系の顔。日本人と見てほぼ間違いないだろう。そう思いながら、自分の番が来るのを近くの席に座って待ったいた。
女性はスタッフと話し終わると、オレに軽く会釈をして向かいの席に座った。オレはフロントスタッフに声をかけた。
「アンニョンハセヨ。予約していないのですが、今晩空いている部屋はありますか?」
「アンニョンハセヨ。シングルの部屋空いてますよ」
すぐに支払いを済ませてスタッフからルームキーを受け取った。
先程から気になっていた女性に声をかけてみた。
「こんばんは。もしかして日本人ですか?」
「はい、そうですよ」
「よかった。私も日本人で、アメリカ人の友達に会いに沖縄から来ました」
「え!? 韓国なのにアメリカ人の友達なんですか?」
それから彼女に簡単にいきさつを話した。彼女は興味津々にオレの話を聞いていた。
「その友達とこれから食事に行くんですが、もしよかったら一緒に行きませんか?」
「はい、めっちゃ行きたいです! うーん・・・でも友達もいるし、そのあと飲みに行く予定もあるし・・・。友達も一緒に連れて行きます!」
ひとまずオレは部屋に行き荷物を置くことにした。それからフロントデスクで待っていてもらったアイリと、その女友達ひとりと男友達ふたりと合流した。まるで桃太郎のように、一気に日本人の子分を従えたような気分になった。20代前半までの人見知りだった自分と比べて、社交性が格段にアップしていることを実感した。
エイミーと待ち合わせの駅について、改札口にエイミーと金髪の美女がひとり、オレたちのことを待っていた。エイミーがオレに気づいて笑顔で手を振る。オレは早歩きで改札口を出ると、まるで恋人に久しぶりに会うかのように、エイミーに飛び込んでハグをした。といっても、エイミーが沖縄から帰って1ヶ月ちょっとしか経ってないのだが。
それから、エイミーの同僚の英語の先生をしている金髪の美女、サラを紹介してくれた。エイミーとの再会は本当に嬉しかったのだが、あまりの美しさにオレだけじゃなく、オレたち日本人一同がサラに見とれてしまっていた。
ふと我に返り、ほかのみんなをエイミーたちに紹介して、それから約束の焼肉屋さんへ向かった。
焼肉屋さんでもあとひとり、エイミーの韓国人の友達のスーホンが合流した。エイミーと一緒に沖縄に遊びに来たもうひとりのメンバーのアリサは少し遅れてくるらしい。もともとエイミーアリサと食事の予定が、いつの間にか10人に増えていた。友達の輪、恐るべし。
先にみんで乾杯しているところにアリサが遅れてやってきた。アリサはオレを見つけると、満面の笑みでハグをして再会を喜んだ。沖縄観光でいろいろとやらかした3人がソウルに再び集結したのだった。
このときの再会の喜びは、他とは比べ物にならないほど格別なものだった。
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