第59話 卑猥な3ケツ

第59話 卑猥な3ケツ

 

 

レンタルスクーターで帰りながら、もう少しで宿に到着というところで、僕たちはいくつもの屋台が立ち並ぶ小さな広場を見つけた。そこからは、食欲をそそる肉の香ばしい匂いが漂ってきた。

僕たちは宿にスクーターを停めると、さっそく歩いてその広場へ向かった。

 

 

 

広場ではさまざまな食べ物が売られていた。サテと呼ばれるバリの串焼きや、ミートパイのようなパイ生地に肉を包んだものが揚げられている。

僕たち3人はたくさんある選択肢の中から、どんな食材が使われているのかわからないものを頼むという冒険はせず、サテを買うことにした。

ところが、屋台のおっちゃんに英語で話しかけても全然通じない。

それでもどうにかこうにか、身振り手振りしながらサテを手に入れた。

 

 

 

サテは何の肉かはわからないがおそらく鶏肉か豚肉だろう。甘いピーナツソースをつけて食べるようで、肉とうまく絡み合い絶妙なハーモニーを奏でた。

僕とゆうやが美味しく食べていると、リッキーはまだまだお腹が空いているようで、彼の顔よりも大きなミートパイも買った。揚げたてのミートパイを頬張りながら「うまいぞ。おまえたちも味見してみろ」と言って僕たちにも分けてくれた。

 

 

 

間食を楽しんだのは良かったのだが、宿に戻るとマルセロやアレックスたちはすでに帰ってきていて、すぐにみんなで、サヌールの少し離れたところにあるインド料理のレストランへディナーに行くことになった。

だが、あいにくスクーターは2台しかないので2回に分けて行く。7人いるので2回で行くには、1度は1台で3人乗らないといけない。

 

 

 

そこで犠牲になったのが、小柄な日本人の僕とゆうやというわけである。痩せっぽちということで、2人で1人という考えなのである。まったくもって失礼な奴らだ。

バリでのスクーターの運転に慣れているタイサが運転するスクーターに、僕とゆうやは乗ることになった。

 

 

 

まずは僕が先にタイサの後ろに座り、それからゆうやが僕の後ろに座った。

ここでさっさと出発すればいいのだが、マルセロが笑いながらひと言。

「ユウマ、タイサの後ろで勃起してるんじゃないのか? ハハハハハ」

こいつめ。バレたか。諸君は写真の僕の表情からも勃起していることが予想できるであろう(勃起していること自体は想像しないでいただきたい)。それに驚くゆうやの表情という構図である。

 

 

 

そうだよ、それがどうした・・・しかし、ここで肯定するわけにはいかないので、僕は全力で否定しておいた。

タイサもマルセロのあとに続き「ほら、しっかりと私の腰をつかんで!」などと言ってくる。もちろん僕はタイサの腰に手を回した。と言っても、やらしい意味ではなく、もちろん安全のためにである。しかし、タイサからほのかな香水の女性らしい香りがするのは、なんとも腹ただしいことである。

 

 

 

僕の後ろにいるゆうやについて触れられなかったことが、せめてもの救いだろう。日本人2人ということで、ゲイカップルといじられる可能性は大いにあったわけである。その場合、ゆうやにお尻を向けている僕が女役ということになる。

 

 

 

ここだけははっきりさせておくためにも、勃起していたことよりも全力で否定する。違います。

 

 

 

3人乗りのタイサ号の横で、後ろにビビを乗せたアレックス号とともに出発するのだが、200メートル先に交差点があり、運が悪いことに警察が見張っている。

バリの人たちは、お母さんやお父さんが運転するスクーターに子供3、4人をヘルメットなしで乗せている家族がよくいるのだが、警察が彼らを止めるのを一度も見たことがない。しかし、運転しているのが外国人だと全く違った対応になるのである。

 

 

 

外国人の場合だと、ひとりで運転していてもヘルメットなしならすぐに止められて、罰金を払わされる。まあ要するに、金づるなのである。

警察「ああ、お小遣い欲しいなあ。そうだ、あいつを止めよう」(僕の勝手なイメージである)

外国人がよく罰金を払わされるのは、本当の話だ。

 

 

 

そんなわけで、交差点の信号が青になったときに、他の車やバイクに紛れて交差点を突破するステルス作戦でいくことにした。

信号が青になるとアクックス号は堂々と進み、お尻3つ備えたタイサ号は警察が見張るポイントから見えないように、死角に入りながら交差点を無事に突破した。

 

 

 

宿から10分ほどでレストランに到着すると、タイサとアレックスはマルセロとリッキーを迎えるために引き返していった。

僕とゆうやとビビの三人は、スタッフに声をかけて7人の席を用意してもらい席で待つことに。

カレーの匂いが辺りを包んでいて、激しく食欲を刺激してくるのであった。

 

 

 

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