第81話 クラブ活動開始
不謹慎ではあるが、主犯格リッキーを筆頭に、僕たちは爆竹で無差別テロを思う存分楽しんだ。
爆竹がなくなる頃には地元民3人衆と打ち解けていて、お互いに自己紹介し合ったはずだが、彼らの名前が難しすぎて僕は覚えていない。仕方なく、3人とも「HEY(ヘイ)」で呼びかけることにした。
僕が小学生の頃に所属していた少年野球チームでは、先輩には「さん」づけしなければならなかった。しかし、僕は子どもながらに、なぜ、ほぼ同じ年齢なのに「さん」づけしないといけないかと疑問に思っていた。
大人にならまだしも、子どもが子どもに〇〇さんとか、〇〇先輩と呼びかけるのを気持ち悪く感じたからだ。
ゆえに、僕は決して先輩を、「〇〇さん」とは呼ばずに「ねえねえ(沖縄の姉の呼び方ではなく、単なる呼びかけ)」と話しかけるのが中学の途中まで続いた。そこから、周りに合わせないといけないのかなと、〇〇さんと呼ぶようになっていったと思う。
何を語っているのか自分でも意味わからなくなってきたが、とにかく、彼らの名前を覚えずに「HEY(ヘイ)」と呼びかけることに、僕は何のためらいもないわけである。
彼らもそんなことを気にするでもなく、一緒にお酒を飲んで仲を深めていった。
彼らに、僕とリッキーのこれからの予定を聞かれ、僕は、スカイガーデンへ行く、とこたえた。
彼らもこのあとスカイガーデンへ行くようで、自然な流れで、バリ・ブラジル・ジャパンの「三国同盟」が結成される運びとなった。(バリはインドネシアの一部で国じゃないけどね)
お酒がまわってきたことで、無差別テロのあとは酒が進み、あっという間にウォッカはなくなってしまった。オレンジジュースとアップルジュースだけが大量に残っている。
僕にとってはただアルコールが強いだけのウォッカでおいしくなかったので、リッキーにだいぶ飲ませてやったはずだ。そう思っていたのだが、僕の酔っぱらい度を冷静に判断すると・・・判断できない。
どうやら、僕もだいぶ酔っている。リッキーに飲まされていたらしい。
ちょっとした景気づけのつもりが、KO寸前に追い込まれている。
メインディッシュを味わう前にくたばるわけにはいかない。まだメインディッシュが味わえるスカイガーデンにすら到達していない。
僕は必死にリッキーを急かして、HEY3人衆も一緒にスカイガーデンへと出発した。
通りはお祭りムードで、人々は楽しそうに歩いている。あまりに幸せそうなので、全員、おっさんからマリファナを買ってハイになっているんではないかと疑うほどだ。
僕は、シラフのときですら脳内にあるスイッチを切り替えれば、即座にハイにも廃人にもなれる。アイテムなどいらないのだ、と、アルコールが回っている僕の脳は主張した。
3分でスカイガーデンに到着すると、入り口には蟻の行列のようにたくさんの人達が列をなしていた。
露出の高いピチピチの服を来た白人のお姉さんたちが多い。というか、僕の目にはそれしか映らない。
沖縄のナイトクラブでは、ちらほら露出度の高い服装の女子を見かけるが、カジュアルな格好の女子がほとんどである。そのくせ、話しかけてみても全くもってカジュアルではなく、中世の騎士の鎧を着ているかのようにガードが固い。
ただ話しかけただけなのに、たまに騎士(ナイト)気取りで女友達を守ろうとする男もいるほどだ。いいところを見せて、モテようというお前の下心はバレバレだぞ。
僕がワーホリでカナダに住んでいた時にも経験したが、海外では、沖縄のナイトクラブとは対照的に露出度が高い服装が多く、話しかけても、みなフレンドリーである。
スカイガーデンも同じに違いない。
僕は今夜スカイガーデンで、天にも昇る心地を体験すると確信した。
入り口で入場料を支払い、漢(おとこ)、ゆうまのすけ、いざ、戦場へ参る。
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