第34話 ウブドの冒険の始まり
- 2018.10.01
- バリ島の大冒険
タクシーで次の目的地のウブドへ向かう途中、運転手の粋な計らいで休憩のついでにコーヒー農園へ立ち寄った。
ここでは、コーヒー農園の見学と、バリコーヒーをはじめ、バニラやモカやフルーツティーなど12種類のコーヒーと紅茶の試飲が無料でできる。
歩くのが億劫に感じられたオレたちは、コーヒー農園の見学をせずにすぐに席について、コーヒーと紅茶の試飲セットが来るのを待った。
しばらくすると、スタッフがバナナチップスとともに小さなカップに入った12種類のコーヒーと紅茶を持ってきた。さっそくそれぞれが好きなカップをひとつずつ取り、ひと口飲んでみる。味は悪くないようで、みんなまずまずの反応だ。それぞれのカップをみんなに回しながら交代ずつ飲んでいく。それから、まだ手がつけられていない「生姜ティー」などの健康には良さそうではあるが、あまりおいしくなさそうなものを、オレが試しに飲んでみる。
生姜ティーのあまりの苦さに一瞬にして、けわしい表情になってしまった。
「これ、おいしいよ。飲んでごらん」
とリッキーに回しても、オレが生姜ティーを飲むのを見ていたのでリッキーは乗り気ではない。リッキーはいやいや飲んでみた。
「おぇ。これはまずい」
やはり、リッキーの口にも合わなかったようだ。結局オレたちは、生姜ティー以外を飲み干して席から立った。観光地ではあるだが、ただの休憩所だったかのように、コーヒー豆が買えるお土産屋さんには見向きもせずに、一同タクシーへと戻った。
タクシーが何もなかった道だけの場所から、人通りが多い街に入っていたので、すぐにウブドに入ったのだと気づいた。お土産屋さんや飲食店が通りにずらっと並んでいて、観光客で賑わっている。
大通りで降ろされて、宿泊予定のゲストハウスへ移動した。なぜゲストハウスの前で下ろしてくれないのかと思っていると、ゲストハウスは路地裏にあって、車が入れそうもない。
ゲストハウスの立派な門をくぐると、敷地内には4つの小さな家屋があって、そのうちのいくつかはオーナー家族の居住スペースで、そのほかがゲスト用のベッドルームであった。そのまま奥の方へ進んむと、オーナーのおばちゃんが迎えてくれた。
「ようこそ、ウチのゲストハウスへ。みんなゆっくりしていってね」
おばちゃんから親しみやすくて温かみのあるオーラが感じられる。
オレたちは2つの隣り合ったベッドルームに案内された。いつも通りにオレとゆうやとリッキー、マルセロとタイサで部屋は分かれた。オレたちの部屋には、ダブルベッドがひとつ、シングルベッドがひとつあったので、今回はオレとゆうやがダブルベッドを共有して、リッキーがシングルベッドを使うことになった。
オレたちは遅めのランチを食べに街は繰り出した。街の様子を伺いながら、オレたちはピザ屋を見つけて腰を下ろした。
まずはお決まりのビンタンビールを先に頼んで乾杯してそれからピザを頼む。オレたちの席は道路に面した店の外側にあって、目の前の道路では数え切れないほどのバイクで大渋滞している。まるでバイクのパレードでも見ているようだ。
ぼーっと渋滞を眺めていると、ひとりの金髪の後ろ姿が綺麗なお姉さんがオレの視界の端に飛び込んできて、ピザ屋の隣の服屋さんに入っていった。正面に座るリッキーも女性に気づいて目で追っている。オレとリッキーは無言で目を合わせて、笑顔でウンとうなずいた。いつ何時目の保養となるチャンスがあるかわからないので、オレとリッキーは常にセンサー全開で周りを注視しているようだ。
女性のことをゆうやにも教えて、ピザを食べながら、女性が店から出てくるのを独り身男子3人組は、静かに見守っていた。すると、店のドアが開いて例の女性が店から出てきたが、3人とも目を合わせてがっかりした表情へと変わった。女性はけっこう年を召されているようで、オレたちのストライクゾーンではなかった。
「あと20歳若かったらよかったのに。」
「間違いない。まだまだチャンスはあるから次に期待しよう」
そうやって3人は意気投合した。
遅めのランチを済ませて、オレたちは一時宿へと戻ることにした。
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