第3話 再会

第3話 再会

 

 

ホステルのチェックインを終えて、4ヶ月前に、うちの民泊に泊まりに来て仲良くなったジョイスに、ゆうやも同伴でこれから会いに行く。

 

 

ジョイスと連絡を取り合って、ホステルからそう遠くない近くのショッピングセンターの前の広場で待ち合わせをした。
ジョイスを驚かせようと思い、指定の場所には素直には行かずに、広場の近くの影にゆうやと共に身を潜めた。

 

 

 

「今着いたんだけど、ユウマはまだ着いてない?」

ジョイスからのメッセージが来た。返信はせずに、広場にジョイスがいないか見渡した。

時刻はまだ土曜日の夜7時。夜は始まったばかりで賑わっている。どこを見ても人、人、人。

ジョイスを見つけるのに少し手間取った。

 

 

 

4ヶ月前のジョイスと最後に会った(と言っても最初でもあるけれど)記憶を頼りに、ジョイスをどうにか見つけた。

ジョイスの視野に入らないように、気をつけて後ろから忍び寄って、ハンターのように襲いかかる・・・のではなく、ワッ!!と驚かせた。

 

 

 

ジョイスは驚いて、後ろを振り返って一瞬鬼の形相を見せるも、オレの顔を見ると笑顔に変わった。

あまり長いとは言えないけれど、4ヶ月前に母親と沖縄に遊びに来て以来の再会を喜びあってハグを交わした。

相変わらず元気いっぱいのジョイスで安心した。それからささっとゆうやを紹介した。

 

 

 

それからオレたちは、ジョイスのおすすめの香港の夜景が一望できるというルーフトップバーに行くことになった。

ビルのエレベーターに乗り、バーの階まで上がった。バーに入るとそこは店内とテラス席に分かれていて、店内から窓ガラスを通して、香港の宝石が散りばめられたような幻想的な夜景が見えた。

残念ながら空気が汚れていて夜景の綺麗さが半減していたが、それでも沖縄では見ることができない超高層ビルからの夜景はすばらしかった。

 

 

オレたち3人はもちろんテラス席に移動した。ここで意外な敵に遭遇してしまった。

超高層ビルにいるから当然といえば当然なのだが、地上の少し暑いくらいの気温とは打って変わって風が強くて寒い!!

体感気温で10度以上の差があるかと思うくらいの寒さだ。せっかくの夜景を前にしてロマンチックにお酒を飲めるチャンス(3人だけれども)を棒に振るわけにはいかないので、寒さと、3人というシチュエーションを歯を食いしばって我慢した。

 

しばらくは寒さに耐えながら飲んでいたのだが、そう長くは持ちこたえられずに次の場所へ移動することにした。

 

 

 

 

ズラッと並ぶたくさんのバーやレストランがある通りに入ってみると、バンドが生演奏していて楽しそうなバーを発見した。

そのバーを覗いてみると、店内のカウンターの上の棚に水槽があって、その中には、まさかのサメが入っていて優雅に泳いでいる。なんだか斬新でおしゃれだ。

一同は迷わずにこのバーに入った。

 

 

 

そして、最初に頼んだ飲み物はまさかの、自分の顔の2.5個分の長さのジョッキに入ったビール。

3人とも細長ビールを頼んで乾杯した。やはりビールの量が多すぎて、お腹が苦しい。

それにグラスが長すぎて飲みづらいし。それでもちまちま飲んでいって、どうにか1杯目を飲み干した。

お酒が大好きなゆうやはビールを飲み干すと、カクテルを1杯頼んだ。

 

 

 

気がつけばバンドの演奏も終わり、落ち着いた雰囲気になっていた。

先程からジョイスとオレの距離感が少しずつ近くなっている気がしていた。

お酒も相まって、オレの期待感は少しずつ高まっていた。

 

 

これは今夜あるかもしれないぞ。笑

 

 

 

ゆうやが最後のカクテルを飲み干すと、オレたちはバーを出た。

「さあ、もう一軒行こう!」

ゆうやの掛け声に、テンションの上がっていたジョイスも乗っかって、もう一軒行くことになってしまった。

とほほ・・・オレの純粋な下心も知らずに。くそー!!笑

 

 

 

次のバーは、キャッチのお兄さんのうまいトークに騙されて、同じ通りにあるすぐ近くのバーに入った。

時刻はすでに早朝2時。眠気と酔いでいつ意識が飛んでもおかしくない状況になっていた。

そこから1時間ほど飲んで、全員ベロンベロン状態になって、ようやく帰ることになった。

と思いきや、締めにご飯を食べに行くことに。

 

 

腹を満たすと、今度こそ本当に帰ることになった。この時、早朝4時。

まだ下心が眠気に勝っていたオレは、最後の力を振り絞って、判断力が極端に落ちている頭を使って、

もう遅いから(朝早いから)オレたちと一緒に帰ってオレたちのドミトリーで寝ないかと、さりげなくジョイスを誘ってみた。

 

 

 

ジョイスもまんざらでもない様子で、宿泊先を聞いてきた。場所を応えると、まんざらでもない様子のジョイスの表情が一瞬にしてこわばった。

「わたし、前にそのビルで危ない目にあったの。あそこはあまり良いところではないわよ」

確かにそんな雰囲気がある怪しいビルだった。笑

ジョイスがそんな危険な目にあった場所に再び行くわけもなく、最後の最後でゴールを逃したのだった。

 

 

 

タクシーを捕まえてジョイスを見送ったあと、オレとゆうやは歩いてホステルに向かった。

出発の時間まで2時間を切った。1時間半は眠れるはずだ。眠気が極限に達していた。

だいぶお酒も入って、この時の寝坊する確率90%ということなど、考える思考力も機能せず、一応、1時間半後にアラームを設定して、目を閉じると同時に意識が飛んでいった。

 

 

 

きっとゆうやが起きれるだろう。なんくるないさー。