第12話 レンボンガン島の夜

第12話 レンボンガン島の夜

 

 

レンボンガン島についた夜、ホテルのレストランに集まってみんなで夕食することになった。

その時に新たなメンバーが加わった。

この島でダイビングのインストラクターをしているブラジル人女性のタイサ。

タイサの友達のポルトガル人女性ジョッタ、ブラジル人女性のマリアナとイギリス人紳士のサム

のカップル。

 

 

 

マリアナとサムは、以前にスペインに住んでいて、サムは少しスペイン語を喋れたがブラジル人の母語のポルトガル語はまだ勉強中だった。

一通り自己紹介して注文した料理が運ばれてくると、いろんな言葉が飛び交った。

 

 

 

マルセロとビアンカ、リッキー、タイサとマリアナのブラジル人5人とポルトガル人のジョッタはポルトガル語で会話して、オレとゆうやは日本語、それ以外の全員での会話は英語で話すというなんともインターナショナルなディナーになった。

 

 

 

一応英語とポルトガル語をしゃべるオレは、最初のうちは全ての会話に耳を傾けて、少しだけゆうやに通訳していたけれど、だんだんと頭がこんがらがってきて、適当に聞き流すようになっていた。

 

 

 

日本人のオレたちふたりにとって、ものすごくアウェーな感じになっていた。

そんな時ゆうやが

「ゆうま、あのお姉さん日本人ぽくない?」

オレに耳打ちしながら、近くの席にひとりで座っているお姉さんを指さした。

 

 

 

ゆうやが指差す方を見てみると、確かに日本人ぽいけど肌の色が日本人にしては濃いような気がする。

「ちょっと話しかけてくる」

そう言ってゆうやは席を立った。

 

 

 

 

3分後・・・

 

「ゆうま、やっぱり日本人だったよ。来なよ」

ゆうやからお姉さんの席へ呼び出された。

オレたちは、バリ島でまだ日本人に一度も出くわしていないのに、まさかこの島で出会うとは、思いもよらぬ日本人との出会いとなった。

 

 

 

お姉さんも、タイサのようにこの島でダイビングのインストラクターをしているようだ。

しばらく日本人3人で久しぶりの日本語での会話を楽しんで、そこから特に発展することなく席に戻った。

 

 

 

さらにみんなとお酒を飲み続けて、気がつけば、マリアナとサムは先に帰ってゆうやとリッキーは部屋に戻っていた。

残ったのは、オレとマルセロとタイサとジョッタ。周りにいた他の客もみんないなくなって、辺りは夜の静けさの中にオレたちの話し声だけが響いていた。

 

 

 

オレは静かに3人の話を聞いていると、突然、何かムードが変わったのを感じた。

マルセロとタイサが見つめ合って、アイコンタクトをはずさない。

そして、お互いの顔が少しずつ近づいて・・・

 

チュッ。

 

 

 

そうなりますよね。ふたりはそっとキスをした。

一度でなく二度、三度と何度も唇を重ねて、今まで離れていた時間を取り戻すかのようにふたりだけの世界に入ってしまった。

 

 

 

それを目の前で見ていたオレとジョッタは、親とテレビを観ているときにエロいシーンが流れたかのように顔を背けた。始まってしまったよ。

 

 

 

 

ブラジルでは、周りに人がいるかいないにかかわらず普通のカップル、同性のカップルが街中で濃厚なキスをしたり、イチャイチャしてるのを見かける。

ブラジル人のマルセロとタイサは、もちろんオレとジョッタを気にすることなく、イチャイチャし続けた。

 

 

 

ブラジルにいた時に何度もこういった光景を見て慣れているオレは負けじとジョッタの方を見た。

よーし、こうなったらオレとジョッタもチューしようじゃないか!

ジョッタの方を見たけど、彼女と目が合うことはありませんでした。

こちらのムードを読み違えたようです。どうもすいませんでした。笑

 

 

 

このあとオレたちは解散して、マルセロはそのままの流れでタイサの部屋に泊まることになった。

この日からマルセロとタイサがくっついたのだった。

目の前で男女のイチャイチャを見てムラムラしてベッドに入って、オレはしばらく眠れなかった。

 

 

 

こうして、レンボンガン島の一日目が終わった。