第24話 夜のお散歩は誘惑がいっぱい

第24話 夜のお散歩は誘惑がいっぱい

 

 

クアラルンプールの夜の散歩に出かけることにしたオレは、フロントデスクのスタッフに夜の散歩をするならどこがいいかを聞いてみることにした。

 

 

 

 

フロントデスクのマイケルに尋ねてみると、そろそろ勤務時間が終わって他のスタッフと受付を交代するので、少し待って近くの歓楽街で一緒に飲みに行くことになった。

数十分待つと、他のスタッフが来てマイケルと交代した。

「さあ、行こうか」

「はい、お願いします」

マイケルの案内で徒歩で15分ほど離れた場所にある飲み屋街に到着。

 

 

 

「ここが入り口だよ」

マイケルが説明しなくてもわかるくらい急に賑やかなエリアに足を踏み入れていた。

周りを見渡すと、バーやクラブ、マッサージ店があってネオンなどで派手に飾られて、それぞれのお店が強烈にアピールしている。

マイケルに案内されてあるバーに入った。

 

 

 

マイケルは明日も朝から仕事なので、1杯だけ飲んで先に帰っていった。オレはもう1杯頼んでもう少しゆっくりしてからバーを出る。

バーを出てさらに歓楽街の奥へ進んでみる。月曜の夜だからなのか、あまり出歩いてる人がいない。マッサージ店の前で呼び込みをしているお姉さんたちのほうが多い。

「お兄さん、お兄さん。マッサージはいかが? ハッピーエンディングもあるよ」

「え、ハッピーエンディングって何?」

「もうお兄さんたら、知ってるくせに。あまり大きい声じゃ言えないのよ」

お姉さんはそう言いながら握りこぶしを上下に振った。

 

 

 

ああ、なるほど。そういうことか。笑 普通のマッサージだけど、客が望めば性的サービスもありますよということなのだ。

「いえ、今日は結構です。また今度ね」

お姉さんたちが腕を掴んできて危うくお店に引っ張られるところだったので、お姉さんの腕力と誘惑に打ち勝ってギリギリのところで断ってその場から去った。

 

 

 

そのまま歩き続けると、ボディコンを来た長身のセクシーなお姉さんたち数人が道の端に集まっている。がしかし、よく見ると女性にしてはハイヒールを差し引いても背が高すぎるし、弱冠筋肉質でやけに体のラインが太いように見えた。

お姉さんたちの目の前を通る瞬間、彼女たちの誘うような視線が一斉にオレ一人に向かって跳んできた。必死に目を合わせないように恐る恐る通り過ぎていく。

 

 

 

通り過ぎたあと、振り返ってお姉さんたちをチラ見すると、お姉さんのうちのひとりがマッチョな人と腕を組みながら歩いていく。

あとから知ったのだが、それは大人の夜遊びのうちのひとつ、「エスコートガール」(今回は、シーメールやレディボーイと呼ばれる性転換手術した元男性の人たちだったが)らしい。お金を払って彼女たちと一緒に過ごす出張風俗のようなシステムで、東南アジアに出張で来る日本人男性がよく利用しているようだ。

危ない。危ない。夜の街には強盗以外にも甘い誘惑や危険がいっぱいである。今日のところはセーフ。笑

 

 

 

歩き続けていると、いつの間にか歓楽街は終わっていて、辺りはやけに薄暗い。オレは少し怖くなって引き返した。

再び、エスコートガールのお姉さんたちの前やいくつものマッサージ店を通り抜けて、たくさんの誘惑をひらりひらりと交わしまくって帰路についた。ちょっと散歩するつもりが予定の時間を少し超えてしまっていた。

 

 

 

2日後の夜にはバリ島に戻らなければならない。それまでにマルセロのカメラの部品を購入するという大切なミッションを思い出した。明日、あさってとハードになりそうなので、今夜はしっかり体を休める必要がある。遊ぶのはミッションが完了してからだ。重要なミッションを再確認してベッドに入った。

 

 

 

今夜はリッキーがいないので、部屋が静まり返っている。よって、ゆうやもぐっすり眠っているようだ。笑