西洋人の無神論 東洋人の無宗教 中村圭志
- 2020.12.31
- 知識の宝物庫(読書記録)
- 宗教, 無宗教, 無神論
前回、「世界5大宗教全史」についての大まかな知識を勉強しましたが、ほとんどの日本人のような「無宗教」のほかに、神は存在しないとする「無神論」という立場についても知っておくべきでしょうね。
「知ってるつもり 無知の科学」であったように、AというBという政策があってAとBのどちら側でもいいんですけど、極端な立場を取る人ほど根拠や説明を求められた際にうまく説明できないんですよね。
そんな人はたいてい、それについてしっかりした知識を得ると態度を和らげるそうです。
ということで、宗教について勉強する際もただ一方的な主張を鵜呑みにするのではなく、無神論も含めた相対的な知識を得たうえで考えることが重要だと思います。
ある特定の信仰を持つ家庭に生まれた子供は、判断力を持たない幼い頃からほぼ確実に親の宗教を叩き込まれます。
それは犯罪だ、みたいなことを「神は妄想である」リチャード・ドーキンスさんはおっしゃってましたからね。
まあそこは置いといて、本書でのユダヤ教、キリスト教、イスラム教のような一神教のおかげで科学の発展があった、という考察が僕が本書で面白いと思った点でした。
一神教の「白か黒か」といった二元論的な部分が、観察・実験をして物事を調べるという科学的手法を生み出すきっかけになったのだろう、ということでした。
対して多神教である日本のようなアジアの国では、物事を柔軟に解釈(あいまいともいえるかもしれない)しようとするので、科学が発展しにくい環境だった、とのこと。
本書では、無神論者がユーモアたっぷりに宗教を皮肉ってるツイッターの投稿などを紹介していたり、各宗教の教典の矛盾点を挙げたり、信仰のある側からの無神論への論拠のない反論など、おもしろい部分が多々ありました。
一歩引いて視点から読む分にはかなり楽しめると思います。特定の信仰がある人はしりませんけども。そもそも、そういう人たちがこの本を読む可能性はひくいかもしれませんね。
本書でも無神論者の大まかな主張は理解できますが、もっと突っ込んだ角度から「神」について知りたい人はリチャード・ドーキンスの「神は妄想である」を読むことをおすすめします。
たいていの人が「神さま? まあいるんじゃない」というはっきりしない立場にありながら神社やお寺に行ったりする日本人だからこそ、読んでみた方がいい本たちかもしれませんね。
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