【盲人の世界を疑似体験】目の見えない人は世界をどう見ているのか 伊藤亜紗
契約満了でNetflixでの配信が終了となったドラマ「デアデビル」を見たら、目が見えない人たちは日々どんな体験をしているのかが気になりました。
とりあえずググってみると、音の反響で景色を見る「エコーロケーション」なるものを一部の視覚障害者たちは使っているというのがわかりました。
※参考記事「一部の視覚障害者は、自ら発した「音の反射」から景色を“見る”ことができる──そのメカニズムが明らかに」
まさにリアルデアデビルですね。
ここから盲人たちの生活をさらに知りたいと思い、本書にたどり着いたわけです。
人間は情報のほとんどを視覚から得ています。しかし、視覚能力がない、もしくは失ってしまった場合はどうなるのでしょうか。
ここで発揮されるのが人間の脳のハイスペックな能力です。
脳の適応能力は凄まじいもので、視覚能力を失ってしまってもそれを補うために聴覚や嗅覚、触覚など視覚以外の感覚で世界を認識しようとします。
その結果、それらの感覚が目が見える人たちのレベルを超えてしまうのです。
デアデビルの能力は誇張されていますけど、エコーロケーションに関しては誰もが目を疑うに違いありません。
超人のイメージで語ってしまいましたが、本書では一般人である盲人がどんな日常を送っているのかが紹介されています。
特に印象的だったのが2つのエピソードです。
ひとつめが、日常的にロシアンルーレットを体験している方です。
その人がレトルト食品を食べる時に、写真や文字でミートソース、カルボナーラなどの違いが示されている場合(ほとんどがそうですけどね)、パッケージの手触りは同じなので開けるまで何味かわからない。それ故に何味が当たるかを楽しんでるそうです。
強制的なロシアンルーレットですね。
そしてふたつめが、ブラインドサッカー選手はみんなメッシ級というもの。
ブラインドサッカーでは、ゴールキーパーだけがチームで唯一目が見えるプレーヤーですが、盲人が蹴るシュートは視線から蹴るコースが予測できないので止めるのが困難だそうです。
そういうわけで、そのゴールキーパーはブラインドサッカーをする時はいつもプレーヤーたちを世界最高峰のサッカー選手メッシみたいに感じるそうです。
おもしろいですよね。
エコーロケーションやこういったエピソードを知ると、盲目は障害ではなく一つの個性のように感じられます。
著書「五体不満足」で有名な乙武洋匡さんがそう話していたと思います。
盲目への障壁が低くなったことで、もし僕が失明したり視力が低下しても何とか生きていけそうな気がしてきました。
そんな目が見えないという特徴を持った人たちへの理解を深めたり、目が見えないという擬似体験をさせてくれる本書、おすすめです。
とはいえ、世界は美しいものや興味深いもので溢れています。それを見逃さないためにも、今から目という宝物を大切にしてはどうでしょうか↓
最後に、内向型で好奇心旺盛な僕が見て体験したバリでの冒険をまとめた本の紹介です。
『冒険で学ぶ人生のサバイバル術(上)(下)』、もしあなたが若い時にもっと挑戦するべきだったなと思っっているなら、ぜひチェックしてみてください。
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