第28話 ジョナスとの再会

第28話 ジョナスとの再会

 

 

ゆうやと共に、ジョナスとの待ち合わせの場所へと向かった。

待ち合わせの場所は、オレが昨日の夜に散歩をした歓楽街だった。今夜は昨日の夜散歩したときよりも早い時間帯だったので、たくさんの人で賑わっている。オレたちは先に待ち合わせ場所についてジョナスを待った。

 

 

 

が、約束の時間になってもジョナスは現れない。インターネットが使えないオレたちには、一度ホステルから離れるとWi-Fiスポット以外では連絡を取る手段がないので、そのままジョナスを信じて待つことしかできない。

約束の時間から1分、また1分と過ぎていく。次第にゆうやが苛立ちを隠せなくなってきていた。

「もう来ないんじゃない?」

「いや、大丈夫。沖縄タイムならぬ、ブラジルタイムできっと少し遅れているだけだよ」

 

 

 

 

オレたちにできることはただひとつ、ジョナスを信じて待つのみ。

30分後、ようやくジョナスが姿を現した。

「ゆうまさん、久しぶり!」

「ジョナスさん、元気? まさかマレーシアでまた会えるなんて思わなかったよ!」

 

 

 

ジョナスとの再会が日本でもブラジルでもなく、まさかマレーシアになるとはふたりとも予想していなかった。予想外なことばかり起こって、旅はなんて楽しいのだろうか。

まさかの再会を果たして、ゆうやを紹介したあとにオレたちは近くのバーに入った。

 

ジョナスについては「逆ヒッチハイク!?」参照

 

 

 

しばらく三人で飲みながら、お互いの近況報告をしたりこれからの予定などを話し合った。ジョナスはあいにく翌日に仕事が控えているらしく、1杯だけ飲んだあとはソフトドリンクを飲み始めた。

「夜市はもう行った?」

「いや、まだ全然観光とかしてないよ」

「じゃあ夜市まで案内しよう。いろんな食べ物が楽しめるよ」

 

 

 

それからジョナスに連れられて、バーから歩いてすぐのところにある夜市まで向かった。

夜市には、たくさんの屋台や飲食店が並んでいて、夕食の時間はとうに過ぎていたがたくさんの人が友人や家族と飲み食いして賑わっている。

オレたちは適当にレストランを決めて、店外にある席についた。

 

 

 

ジョナスとゆうやは料理を頼むが、先程の3枚の大きなピザをまだ消化しきれていないオレはビールだけ頼んだ。どうやらオレの胃の消化能力を過大評価していたようだ。安くて美味しい料理が目の前にたくさんあるのに食べられない。誠に残念である。人間の三大欲求のひとつの食欲には逆らえないから、しょうがないのである。

 

 

 

オレたちが食事をしていると、若い兄ちゃんがレーザーポインターやサングラスなどの売り物をたくさん持って、オレたちの席にやってきた。兄ちゃんは無言でレーザーポインターでいろいろなキャラクターやカラフルなものなどを披露する。

わあー、すごーい! ひとつ欲しい!!・・・となるとでも思ってるのか!?笑

そんなわけない。買ったところで使いみちがないので他を当たるように指示すると、他のテーブルの客の方へ行ってデモンストレーションを始めた。

 

 

 

せっかくいろんなレーザーポインター持っているのだから、売りつけるより何かパフォーマンスをしたほうがおもしろそうだと思ったが、その考えが思い浮かんだときには彼はすでに辺りから消えていた。

夜も遅くなってきて翌日に仕事のあるジョナスが帰ることになり、ここでお別れの時間となった。

 

 

 

ジョナスとは、また世界のどこかで再会することを約束して別れた。まさかのマレーシアの再会だったので、またすぐにどこかで偶然会えそうな気もする。これぞ世界中に友達ができて旅をした時の醍醐味のひとつである。

 

 

 

今日はもう遅いし日中歩きまわって疲れたので、大人しくホステルに戻って休むことにした。

だが、オレはふと考えた。今夜がマレーシア最後の夜、このままじゃつまらない。

そうだ、散歩してくる!

 

 

 

疲れてダウンしているゆうやを残して、オレは再び夜の街へ戻るのであった。