第23話 クアラルンプールで一番おいしいもの
夜9時頃にマレーシアのクアラルンプールに到着すると、まずは両替所でインドネシアのルピアからマレーシアの通貨リンギットに交換した。それから、宿泊先の近くまで行くバスのチケットを買うためにチケット売り場へ向かう。
列に並ぶと、オレたちの目の前に並んでいる4人グループが英語以外の言語で何やら話しているようだが、なぜか聞き取れる。
そうか、ポルトガル語だ。ということは、彼らがブラジル人である可能性大。
「ゆうや、この人達ブラジル人かもしれない。ちょっと話しかけてみよう」
「え、ほんとに?」
「ねえ、君たちってブラジル人かい?」
「そうだけど、君もブラジル人なの?」
「違うよ。ポルトガル語しゃべれるだけだよ」
「え、なんでなんで?」
そこからオレに興味を持ったみたいで、オレがブラジルに行ったことや、オレとゆうやがサッカースクールを押していることを話して仲良くなった。残念ながら彼らとは目的地が違ったが、このさきまた会えるかもしれないので、一応連絡先を交換しておいた。どこにいってもブラジル人と会うとなぜか嬉しくなる。
「チャオ!」
ブラジル人グループとは別れてバス乗り場へ向かう。
バス乗り場で再びサムとマリアナの姿を発見したのだが、サムの様子がおかしい。
「また会ったね。サム、どうしたの?」
どうやらサムは急に体調が悪くなったようで、つらそうにしている。
「明日になってもよくならなかったら病院に連れて行ってみるわ」
マリアナが着いているので大丈夫そうだ。そうこう話しているうちにバスが到着して乗り込んだ。
30分後。目的地に到着してオレとゆうやはバスを降りる。ここでサムとマリアナとはお別れだ。サムの体調は少し良くなったようで、普通に歩けるくらいに回復していた。ふたりに別れの挨拶をして、ふたりはオレたちとは反対の方向へと歩いていった。
オレたちもホステルへ向けて歩き始めた。クアラルンプールの治安がどれほどのものか知らないので、ブラジルの夜道を歩く時のように、細心の注意を払いながら進む。
ホームレスの人たちをちらほら見かけたが、特に危険もなく歩いて15分ほどするとホステルに到着した。
チェックイン手続きを済ませて、今回も香港のホステルのようにツインの予約なのにドミトリーに案内されるか心配だったが、今回はちゃんとしたダブルの部屋へ案内されたのだった。
ふたりともお腹が空いていたので、おいしいものを求めて外へ出た。マレーシアの料理はインドネシア料理と似ているようなので、ゆうやのリクエストでそれ以外のおいしいものを求めて歩き続けた。
そしてふたりがたどり着いた場所が『ケンタッキー』である。香港で一番美味しいものがマクドナルドのビッグマックと発言したマルセロ(第2話 いざ、香港へ参る参照)かというツッコミは置いといて、これ以上歩き回るのがめんどくさくなって店内へ入った。
チキンフィレサンドセットを頼んで席へついた。ケチャップはセルフサービスとなっていて、自分でディスペンサーからお好みの量をカップに入れて準備する。
ファーストフード店での醍醐味、ひとつ目のフライドポテトをケチャップにつけて口に放り込む。最高の瞬間。と思いきや、なにやら甘辛い味がする。オレはすぐに悟った。さきほど入れたのはケチャップではなくて、チリソース!!
そんな、ファインプレーは求めてないのにー!!!笑
しかもディスペンサーにはチリソースの一択のみ。やめてくれ。笑
チリソースはあまり好きではないので、仕方なくありのままのポテトを食べることに。
すっかりチリソースに心を乱されてしまったが、オレたちの隣の席では若い女の子二人組が話しているのを発見した。
今回のミッション、カメラの部品の購入を思い出して情報収集のために、二人組に声をかけてみる。
「ねえ、きみたちって地元の人? ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「いいえ、わたしたちは大学の休みでクアラルンプールに遊びに来てるの」
話してみると、彼女たちはインドネシア人で数日間クアラルンプールに滞在するようだ。残念だが、カメラの手がかりはなし。
オレたちは食事を終え、彼女たちに別れを告げてホステルへ引き返した。
今日のところはもう遅いので休むことにした。ゆうやだけ。
せっかくのクアラルンプール、オレはもう少しだけあたりを散策することにした。
いざ、夜のお散歩へ。
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