クレイジーハロウィン第13話 パクさんとの再会

エイミーと別れて切なさが残る中、この3日間の思い出に浸りながら電車に乗っているうちに、いつのまにか初日に泊まったシンチョンにあるゲストハウスにたどり着いていた。
ふと我に返り、親しみのある友好的なゲストハウスのオーナーのパクさん思い出して、またここにお世話になるのも悪くない、と思い階段をのぼってフロントにいった。
「こんばんは、パクさん! また来ちゃいました。今夜はシングルのお部屋空いてますか?」
「おう、よく戻ってきたね。空いてるよ! また来てくれたから少しまけてあげるね」
「ありがとうございます!」
すぐにチェックイン手続きを済ませ、部屋へ戻って一度シャワーを浴びてからフロントに戻った。
「パクさん、近くにどこかおすすめのバーとかないですか?」
「そろそろ仕事終わるから、よかったら一緒に飲みに行かないか?」
「そうなんですか? はい、ぜひ行きましょう」
彼の終業時間まで待って、そのあと彼が行きつけのバーへ案内してくれた。
翌日は月曜日ということもあって、オレたち以外に2、3人の客がいるだけだったが、インテリアはなかなか凝っていて、手作り感のある木製のテーブルや椅子が並べられていて、薄い赤の照明で店内は不思議な雰囲気に包まれていた。
「明日も朝早いからあんまり遅くまでは飲めないけど、乾杯だ」
ふたりともビールで乾杯して、フライドポテトなどをつまみながら話し込んだ。オレがハロウィンでイテウォンに行って朝まではしゃいだこと、エイミーと景福宮(キョンボックン)やトレッキングに行ったことなどを話しているのを、パクさんは楽しそうに聞いていた。
なぜエイミーと寝なかったんだよ、と突っ込むパクさんに対し、それはオレも思っていたことだよ、と心の中で思いながら苦笑いした。
パクさんはパクさんで、オレの話が終わると、ゲストハウスを所有することになったいきさつを話し始めた。今は軌道にのったが、自分がいなくても稼働するようにして、自分自身が再び旅に出たいようだった。あまり感情を表に出すタイプではなさそうなパクさんだが、このときは彼の胸のうちにある、旅に対する強い情熱を感じた。
旅に出てハマってしまった人の宿命なんだな、とオレは思った。新しい土地を知る、新しい人達に出会うなど、いろいろ旅の目的はあるだろうが、一度旅の良さを知ってしまうと病みつきになってしまって、定期的に旅に出たくなる、いわば禁断症状のような状態が必ず訪れる。パクさんにとってそんな時期なんだなと共感した。
しばらく、ふたりで旅について語ったのち、もう遅いからと店を出ることになった。
会計をしようとすると、「君はゲストだから、僕が払うよ」とさっと会計を済ませてしまった。
「チャルモゴ スムニダ(ごちそうさまでした)。カムサハムニダ(ありがとうございます)」
「でも、僕が沖縄に行ったときはよろしくね」そう言ってパクさんは帰っていった。
韓国最後の夜だし、まだ帰るのは早いと思い、飲み屋が集中している若者の街、ホンデに行くことにした。グーグルマップで調べてみると、シンチョンからホンデまで徒歩でも約20分で着くみたいなので、歩いていくことにした。
肌寒いソウルでも歩いていると、程よく体が温まって空気がひんやりしていて気持ちいい。いろんなお店や露店を眺めながら歩いていると、すぐに見覚えのある、ベジータの格好でフリーハグに挑戦したホンデ駅の前に到着した。
人と仲良くなれそうな賑やかなバーを探しながら歩いてみるも、若者の街とあってクラブや居酒屋が多い。ひとりでクラブという気分でもないしな、と思いながら歩き続けていると、賑やかな中心街から外れてしまったらしく、ほとんど人通りなくなっていた。
あてもなく先へ進んでいると、たまたま一軒のパブが見つかり、店内を覗いてみると、意外にもたくさんの人で賑わっているのが見えた。しかも、欧米人もちらほらいて、なかなかおもしろそうな雰囲気だ。
よし、ここに決めた。ハプニングを求めて、オレはパブへと突入した。
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