クレイジーハロウィン第8話 リアルゾンビ!?

クレイジーハロウィン第8話 リアルゾンビ!?

 

 

せっかく出会ったピッコロという仲間との別れはつらかったが、先へ進まねばならない。気持ちを切り替えて、新たなドラゴンボール仲間の発見に期待しよう。

 

 

 

途中、お酒が切れたので、コンビニによって、コスプレの人たちだらけのトイレの行列に並んで用をたし、ひとりひとりがビールやマッコリを調達して、再び通りに戻った。

行列の中を小さくまとまって、一列になって歩いていると、先頭のエイミーが、「キャッ」と一瞬ビクッと悲鳴を上げて立ち止まった。

 

 

 

いったい、何事かと思い前方を見ると、そこには、人とは思えないほどリアルな特殊メイクをした女性?が立っていた。

リアルすぎて一瞬引いてしまったほどだ。

「ねえ、一緒に写真撮りましょう」

エイミーが女性に聞くと、彼女は無表情で首を縦に振った。

 

 

少し引いてるエイミーの表情が、おわかりいただけるだろうか。それほど彼女の特殊メイクは、群を抜いて際立っていた。

今夜の特殊メイク賞は、間違いなく彼女?のものである。

 

 

 

リアルな彼女の特殊メイクに驚いたあとは、露出度が高い韓国美女たちにおねだりして、一緒に写真を撮ってもらった。コスプレでキャラになりきって開放的になっている女の子たちで、みんな快く応じてくれた。喜び爆発のオレのニヤケ顔とは対象的に、ジンとハンの兄弟は、韓国美女に慣れているのか、ポーカーフェイスのただのむっつりスケベなのか、無表情なのであった。

 

あてもなく、適当に通りを歩いてく。通りは、溢れんばかりの人で、立ち止まることは許されず、ただ、ひたすら流れに沿って歩くしかない。

 

10度以下の気温はオレにとっては地獄だったのだが、通りは人の熱気でとても温かい。時折、ツーンとした鼻が曲がるような汗臭い人もいたのだから間違いない。笑

 

 

 

大通りに出ると、一際目立つ、人だかりができているのが目についた。気になったオレたちは、何があるのか確かめるべく、人だかりに突っ込んでいった。

人だかりの中心には、一人の男性がいて、目隠しをして、今からギターを演奏しようとしているところだった。

 

 

ひとたび演奏が始まると、ざわついていた人たちも、口を閉ざして演奏に聞き入った。その場にいる人達の注目を一斉に集めて、目にも留まらぬ指さばきで人々を引きつける音色を奏でている。人々は驚きの表情で演奏が終わるまで、一瞬たりとも聞き逃すまいと静かに見守った。

演奏が終わった瞬間、一瞬ときが止まったかのような沈黙のあと、その場にいた全員が拍手喝采を彼に浴びせた。

 

 

 

パフォーマーは、目隠しを取り、ひとりひとりの顔を見ては、何度も四方にお辞儀をした。

世の中広いもので、ストリートでも、こんなにも人々を魅了するようなすごい人がいるのか、と思ったのであった。

 

 

まだまだ演奏は続くようだったが、もういいかな、といいたげな表情でオレたちは顔を見合わせて、その場をあとにした。

どこか、バーを探して一息つくことになり、バーを探し求めて歩いているところ、再びエイミーが「ぎゃー!!!」と絶叫したのだった。どうやら今回は恐怖ではなく、喜びの雄叫びだったようだ。

 

 

 

そこには、不朽の名作、ジョニー・デップ主演の映画「シザーハンズ」のエドワードの格好をした男性が立っていたのだった。子供のようにはしゃぐエイミーは、エドワードにツーショットをお願いした。エドワードになりきっている男性は、無表情で承諾した。

 

ほんの半日前まで、エイミーと一緒に恋人のようにデートしていたオレは、このとき、彼氏面をして並々ならぬ嫉妬心を抱いたのだった。エドワード、このやろう。オレのエイミーから離れろ、と心の中で怒鳴りつけるのだった。ハンがふたりのツーショットを撮る横で、オレの心は、荒れに荒れていたのだ。

 

 

 

そのあとバーに向かうまでの道のり、しばらくは心を落ち着かせるので精一杯だった。そのときのオレの表情は、韓国のソルジャーコスプレの男性との写真に写ってしまった。

 

だんだんと心が落ち着いてきたところ、オレたちは、緩やかな坂道になっている少し怪しげな、車一台分ほどの細い路地を発見して、そこを通っていく人々につられて、路地へ入っていった。坂道を登っていくと、坂道の中腹あたりにバーが2軒向かい合っていて、バーの目の前では、ガンガンに流れている音楽に合わせて楽しそうに踊っている人たちがいた。

 

 

 

オレたちは、目を輝かせてお互いの顔を見合わせた。「ここにしましょう!」、とエイミーが全員の意見を代弁するかのように提案した。バーの中に入ると、外の騒がしさとは対象的にガラガラであった。全員がビールを頼んで、「かんぱーい」としている間も、店の前ではダンスが続いているのであった。

 

 

 

オレは、グラスをテーブルに置いて、外へ飛び出した。

「オレも混ざっていい?」

踊っている人たちに声をかけると、ダンスをやめることなく、ウンウンと一人の白人女性が手招きした。

 

 

 

さあ、ショウの始まりだ。