第32話 再会の地、サヌール

第32話 再会の地、サヌール

 

 

空港へ着くと、搭乗時刻にはまだ早いが先にチェックイン手続きを済ませて、コーヒーとサンドイッチを購入。

ちょうどサンセットの時間で、デッキの方から鮮やかな夕日が見えていた。デッキに座ってサンドイッチを頬張りながら、マレーシアでの出来事を振り返って思い出し笑いをした。

 

 

 

またバリに戻ると、マルセロやリッキーと一緒に冒険の続きが待っているかと思うとワクワクしてきた。今回のミッションで購入した部品を渡す時のマルセロ師匠の喜ぶ顔も思い浮かぶ。

ゆうやにとっては、マレーシアでは比較的落ち着いた3日間で、心身ともにリフレッシュできたようだ。またバリでの騒がしい毎日が戻ってくる。オレたちは覚悟してバリ島行きの飛行機に乗り込んだ。

 

 

 

再びバリのデンパサール空港へ着いたのは午前1時過ぎ。タクシーを拾ってオレとゆうやは、マルセロたちの待つサヌールへ向かった。

途中、オレたちは空腹に耐えきれずにタクシーのドライバーにお願いして、バリでも24時間営業しているマクドナルドへ寄ってもらった。

オレたちは運転手を信用してはいるが、注文しながらも荷物を乗せたまま車が逃げないか車のナンバーを見て車の動向を見張っていた。オレのMacBookを乗せたまま逃げられてはたまったものではない。

 

 

 

持ち帰りでビッグマックセットを購入してさっさと車に戻った。一応ドライバーを信用して入るのだが、不安が体を支配した。笑

しばらくして、サヌールのマルセロたちが待つホテルに到着した。あまりの空腹に、サヌールのホテルに着くまでにビッグマックセットを全部平らげてしまっていた。

 

 

 

マルセロとリッキーがホテルのプールサイドの小屋で、サンドイッチを準備してオレたちを迎えてくれた。だが、ついさっきハンバーガーを食べたオレとゆうやはお腹いっぱいこれ以上は食べられない。なぜかマルセロとリッキーに少し怒られてしまった。

マルセロはスペシャルゲストとして、レンボンガン島からタイサを連れてきていた。ブラジル色が増して、さらにおもしろい旅になりそうだ。

 

 

 

まずは今回の旅の目的のマルセロに頼まれていたカメラのバッテリーを渡した。

「さすがゆうま!! お前は命の恩人だ。よくやった。ありがとう!!!」

マルセロ先輩から大げさなくらいのお褒めの言葉をいただきました。マルセロが喜んでくれて大満足。

 

 

 

バッテリーを見つけるのにどれだけ苦労したか、出会い系アプリの「ティンダー」を奥の手として使ってバッテリーを探し当てたことを、マルセロに誇らしげに一部始終話した。

すると、マルセロは「ティンダーマスター」の称号をオレに与えてくれた。やったね。

 

 

 

時刻はすでに深夜2時を回っている。オレたち以外誰もいないプールサイドで、マルセロたちがサンドイッチと一緒に用意してくれていたワインでオレたちは静かに乾杯して再会を祝った。ワインを1杯ずつ飲むと、いつも通りの部屋の振り分けで、マルセロはタイサと、オレとゆうやはリッキーと同じ部屋に分かれた。

 

 

 

オレとゆうやのほとんどの荷物はレンボンガン島に残して、マレーシアには2日分の着替えを持っていったのみであった。ただでさえ各自の荷物は相当な重さなのに、マルセロとリッキーがオレたちの重いカバンをここまで運んでくれた。

オレとゆうやはマレーシアでのミッションをこなして、マルセロとリッキーは再会の場所に荷物を運ぶ、これぞ日本とブラジルの友好の証のチームワークである。

 

 

 

そして、また今夜からリッキーの猛獣のようないびきが部屋中に響き渡って、オレは熟睡、ゆうやはなかなか寝つけないという構図が始まった。