第14話 チャンギ空港でのひととき
僕がシンガポールのチャンギ空港に着いたのは、昼12時過ぎだった。
これからタイのプーケットに飛ぶのだが、実はこのフライトは、僕と一緒に旅する予定だったシンガポール人の友達が予約してくれたものだった。
彼が二度沖縄に来て、ウチのエアビ(Airbnb)に泊まってくれて仲を深めた。
僕がシンガポールに行くと彼に報告した時に、彼から、それなら一緒にタイにも行こう、という流れになり、彼がタイでの計画をいろいろと立ててくれていた。
僕はとても楽しみにしていたのだが、僕がシンガポールに飛ぶ数日前に彼から入り、体調を崩して寝込んでいることを知った。
これでは、仲の良い友達同士で行く楽しみにしていた学生時代の修学旅行で、直前にインフルエンザにかかるツイてないキャラではないか。
ご愁傷さまです。僕はあなたに深く同情しています、なのだ。
しかし、せっかくの旅行に来たのに、彼のためにキャンセルするわけにはいかない。
彼も「君とならとても楽しい旅になりそうだったが、あいにく僕は行けないそうもない。申し訳ないけど、ひとりで行ってくれ」と、フライト情報、彼が予約してくれたプーケットのホステルの確認メールも僕に転送してくれた。
すまない。仕方がないが僕は君をおいて先に進む、と戦場で助かりそうもない重傷を負った兵士を見捨てるかのような気持ちになった。
旅行で大切なことは気持ちの切り替えで、行けない人のことを考えてもしょうがない。
僕は「いま」を楽しむために、彼のことはきれいサッパリ忘れた。
また沖縄に来るらしいので、その時にまた会えばいい。
僕は早めにチェックインを済ませようとすると、預け荷物で5000円追加で請求された。
ちなみにこれはチケット代より高い。なんてこった……やつの呪いか。
お昼過ぎで僕はお腹が空いていたので、空港のカフェでクロワッサンとチョコドーナツ、ホットコーヒーを買って腹ごしらえすることにした。
ありがたいことに空港では、ところどころにスマホ充電用のコンセントが設けられている。
僕はスマホを充電しながら腹ごしらえしようと、席を探しているとちょうどいいところを見つけた。
これでゆっくりできる、そう思った瞬間だった。
中国系の親子に先にその席を取られてしまった。しかも、3人のくせに席のひとつを荷物用に使いやがって、4つの席を占領しやがった。
でも、どうやら彼らはコンセントを使わないみたいだ。
周りのコンセントはすべて使われている。ここしかないんだ。ポータブル充電器も使い切ってしまって、ここで僕のスマホを充電しておかないと大変なことになる。
僕は勇気を振り絞って母親にコンセントだけでも使っていいか尋ねてみた。
すると意外にも、すんなり承諾してくれた上に僕のためにコンセントの隣の席を譲ってくれた。
ーーなんだ、話がわかる人たちじゃん。何事もダメ元で一応は頼んでみるもんだ。
と、安心して席についた僕は気が抜けていたのか、まさかのコーヒーをこぼしてしまうというハプニングに見舞われてしまった。
それを見た母親も慌てて対応してくれる。
だけど僕は、大丈夫です。大量にポケットティッシュを持ってるんです、と母親に伝えた。
空港でコーヒーをこぼすこともあろうかとポケットティッシュを用意する、なんてピンポイントな予想を僕ができるはずがない。ただ単に、トイレットペーパーが備え付けられていないトイレに備えてのポケットティッシュだ。
これは、僕がバリ島やブラジルに行った時に学んだことだ。読者のみなさんも覚えておくといい。
海外旅行でパスポートやスマホの次に大事なのは、確実にポケットティッシュである。メモしたまえ。
またトイレネタで重複してしまうが、空港でもうひとつ興味深いものを発見した。
男女それぞれのトイレの標識がイスラム教を思わせる格好をしている。
トイレだけではなく、イスラム教徒用に礼拝所があって礼拝できるようになっている。
さすが国際空港である。いろんな人種を想定している。
なぜ僕がこんなことを書いているかというと、いつもきれいなお姉さんばかりを観察しているのではなく、僕がいろんなものに好奇心を持って知識や経験を自分のプラスにしていこうという学びの姿勢を読者に評価してもらうためである。
とはいえ、やっぱり国際空港なんで、いろんな人種のきれいなお姉さんがいました。欧米系からアジア系までさまざまで十分な目の保養となり、次のタイでも元気よく楽しんでいけそうです。
僕はいつも通り、離陸前から気を失ったかのように深い眠りについてタイ、プーケットへと飛んだ。
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