第48話 新たな旅の仲間たち
サウナのように蒸し暑いクラブで楽しんだ翌朝、オレは遅めの朝を迎えた。
目が覚めると部屋をシェアしているゆうやとリッキーはすでに目を覚ましていたようで、すでに起き上がっている。
それになんだか外が騒がしい。こんな朝っぱらから騒がしいなーーーと思いながらも部屋の外に出てみた。
部屋から出ると、そこには見かけない男女が2人いてマルセロと仲良く話している。安心した。どうやら敵ではないようだ。
オレに気づいたマルセロが2人を紹介してくれた。男の方の名前はアレックス、ブラジルでムエタイのトレーナーをしているそうだ。腰まで伸びた長いドレッドヘアが特徴的だ。2日連続でのボブ・マーリーは勘弁してくれよと思う。
それに加えて、ブラジルなのにカポエイラとか柔術やらないんかいーーーというツッコミが喉元まで出かかっていたが、ギリギリのところで飲み込んだ。
女性の方の名前はビビで、アレックスの彼女でヨガのインストラクターをしつつ、アレックスからムエタイのトレーニングを受けているそうだ。それで引き締まって筋肉質な体をしているのか。
マルセロが補足で彼女がベジタリアンであることを話していたが、トレーナーと教え子が恋仲にあるということで、オレの頭の中ではちょっとした妄想が始まっていた。
あまりにも過激な内容なので、ここでは触れないことにする。
ふたりとも大らかでフレンドリーな印象だ。これからオレたちの冒険に合流することになったが、仲良くやっていけそうだ。
ゆうやもリッキーもそろったところでみんなで朝食を取ることにした。ついでに記念写真も撮ることにした。
みんな最高の作り笑いでしょ。特に左端の人。はい、それ僕です。
僕のことは嫌いになっても、このブログだけは嫌いにならないでください!!(一人称が「オレ」だと威張っている感じがするので、これからは謙虚になって「僕」に変えることにします)
写真を撮った後、この朝食の食卓での話題はアグン山についてだった。
リッキーが出川哲朗を彷彿させるテンションで語り始めた。
「あのね!! オレは山を登っている間、何度ももうダメだと諦めかけた!! やっと頂上についたときも限界に達していて、下山するときは本当に死にそうだったんだ。だけどね!! 今朝目覚めたらすべてが変わっていたんだ!! まだ体の疲れは残っているけど、デトックス効果があったのか、体の悪いものがすべて出ていって清々しい気分だよ!! 定期的にチャレンジしてみたいと思ったんだ!!」
「リッキーは本当に辛そうだったもんね。膝も痛そうにしていたし」と僕はリッキーに共感を示しておいた。
「いいねー!! じゃ数日後にまたアグン山登ろうか!!」とマルセロがニヤニヤしながらリッキーに言い放った。
「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、嫌やー」
僕とゆうやはリッキーが返事する前に、即座に全力で拒否しましたよね。
ちなみにリッキーはまんざらでもないような表情をしていましたが、僕は思いましたよね。
ひとりで行って来いや。ボケー!!
こいつらといたらめっちゃ楽しいけど、命がいくつあっても足らんとこの時に本気で思いましたからね。
朝食を食べ終えて荷物をまとめると、ゲストハウスのオーナーのおばちゃんにお別れをして(僕は彼女が観光にアグン山を勧めたことを一生恨み続けるでしょう)、予約しておいたマイクロバスに乗って次の目的地へ出発した。
車内は、マルセロDJによってブルートゥーススピーカーで音楽がガンガンにかかっていた。
ちなみに、このバスは貸し切りではなく他の乗客も相乗りしているのだが、ノリノリブラジル人が集まってしまえばそんなことはお構いなしだ。
さらば、ウブド。
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