第26話 発見、新しいティンダーの使い方

第26話 発見、新しいティンダーの使い方

 

 

少し仮眠を取ったあと、突然ひらめいた。

 

 

 

そうだ! 出会い系アプリ「ティンダー」で情報を集めよう。ティンダーとは海外で有名な出会い系アプリで、登録すると近い距離にいる女性(設定で同性にも変更可能)のプロフィール写真が出てきて、ひとりひとりを「LIKE」か「NO」で振り分けていく。そして、相手も同じようにランダムで男性のプロフィールが出てきて好き嫌いを決める。相手は自分が誰かに「LIKE」されているのかは知らない。

もし、お互いに「LIKE」だとマッチして相手と連絡できるようになるシステムだ。

 

 

「ティンダー」のiOS用デバイス向けダウンロードはこちら。笑

 

 

 

オレの日焼けしたアジア顔を気に入ってくれる人が多少はいるだろうと、このときだけは自信満々である。このときだけ。

さっそくアプリを開いて手当たり次第「LIKE」を押しまくる。すると、30分後に見事に一人マッチしたのだった。オレのことを気に入ってくれてありがとうございます。さっそくメッセージを送ってみる。

 

 

 

「こんにちは! ゆうまだよ。よろしく」

「私はシンディよ。よろしく」

「ちょっと聞きたいことがあるんだ。クアラルンプールでカメラ屋さんを探しているんだけど・・・」

シンディにオレの状況を説明すると、クアラルンプールで一番大きなショッピングモールを教えてくれた。

地元民の情報を信じて最後のチャンスに賭けてみることにした。これでダメならもうお手上げだ。

 

 

 

もう歩きたくないし、ショッピングモールまで歩ける距離ではないので、体力回復したゆうやと一緒にタクシーを拾ってショッピングモールへと向かった。時刻は7時過ぎで、帰宅ラッシュの時間帯と被ってしまって道は大渋滞していた。

大渋滞の中、日中に行ったどのショッピングモールよりもはるかに大きいショッピングモールが見えてきた。ただ大きいだけなのだが、オレとゆうやはここでミッションが終わることを確信していた。というよりも、疲れてもう探し回りたくないという本音もあるのだが。

 

 

 

モールの中に入ると、まずはマップを見てカメラショップがどのフロアにあるのか確認する。このモールには3つのカメラショップがあるようだ。

まずは1つ目のショップ。店員さんにバッテリーの品番を伝えると、店員さんは店の奥へと消えていった。数分待つと再び店員が目当てのバッテリーを持って出てきた。他の店舗も調べるので、とりあえず値段を確認して取り置きを頼んだ。

 

 

 

2つ目、3つ目のショップも回ってみるが在庫がない。そのあとすぐに最初のショップに戻り、マルセロの欲しがっていたカメラのバッテリー2個を購入した。マルセロが想定していた値段より少し高いが、預けられたお金ギリギリのところで足りた。探せばもう少し安い値段のバッテリーがあるかもしれないが、これだけ苦労して見つけたのでもう探し回りたくない。

よって、ついにクアラルンプールでのミッションはここで達成された。

 

 

 

出会い系アプリのティンダー、そしてティンダーで見つけたシンディ、どうもありがとう!

そのあと、シンディに無事にバッテリーを見つけたことを報告してデートの誘いをしてみたが、今日が平日で忙しいということで断られてしまった。沖縄に来てくれたら恩返しするからねと、一応誘っておいた。

 

 

 

ティンダーの使い方は女の子と会うだけじゃなかった。助けを求められると断りづらいという人間の心理を突いて必要な情報を得る。オレはクアラルンプールに来て、ティンダーの新しい使い方を確立したのだった。街中で通行人に直接聞いたほうが早いというツッコミは忘れることにしよう。笑

 

 

 

オレとゆうやがミッションを完了して喜んでいる時に、沖縄で知り合ったブラジル人のジョナス(「逆ヒッチハイク!?」参照)から突然連絡が入った。

「ゆうま、クアラルンプールにいるの? 私もクアラルンプールにいるから、一緒にご飯食べに行こう」

「ジョナスもこっちにいるの? うん、一緒にご飯行こう!」

 

 

 

まさか、こんなところでジョナスと再会することになるとは、なんてサプライズだ。