第39話 アグン山の頂き
頂上で日の出を拝もうと、オレたちは疲労困憊になりながらも、過酷な岩場エリアを死に物狂いで登っていた。 軽いハイキングのつもりで来たのだから、手袋を用意しているわけもなく、氷のように冷たい岩を触るたびに、次第に手の感覚がなくなっていく。手を滑らせてしまえば、崖に落ちてゲームオーバーという死と隣り合わせの状況で、かろうじて集中力は保たれていた。 […]
人生一度きり。やらかしちゃおう。笑
頂上で日の出を拝もうと、オレたちは疲労困憊になりながらも、過酷な岩場エリアを死に物狂いで登っていた。 軽いハイキングのつもりで来たのだから、手袋を用意しているわけもなく、氷のように冷たい岩を触るたびに、次第に手の感覚がなくなっていく。手を滑らせてしまえば、崖に落ちてゲームオーバーという死と隣り合わせの状況で、かろうじて集中力は保たれていた。 […]
休憩のあと、道はさらに急勾配になり一段と険しくなった。 さきほどまでの余裕しゃくしゃくな雰囲気とは打って変わって、誰も口を利かなくなり、みんなのハアハアという息が響き渡る。 時折、列の最後尾で遅れているリッキーを、ガイドのおっちゃんが「がんばれ」と励ます声が聞こえるのだった。 無我夢中で先頭のおっちゃんのあとを着いていく。しば […]
車に揺られること約1時間、ついにウブドから目的地のアグン山に到着した。 オレの強みは、いつでもどこでも眠ければどんな環境だろうと寝れること。おかげで、出発30分前までお酒を飲んで酔っていたが、だいぶ回復したようだ。 今は午前1時。車を降りると、いくつか街灯があってオレンジの光があたりを照らしている。ここは山の1400m地点という […]
翌朝、興奮するリッキーの声に起こされて目を覚ました。リッキーがオレとゆうやをトイレで呼んでいる。 か弱い日本人男子ふたりをリッキーが襲ってこないか警戒しつつ、オレたちはトイレに入った。笑 オレたちがトイレに入ると、リッキーがニヤニヤしながら立っている。 「これを見てみろよ」 リッキーが便器の後ろの壁にある蛇口を握りながら、便器を […]
空港へ着くと、搭乗時刻にはまだ早いが先にチェックイン手続きを済ませて、コーヒーとサンドイッチを購入。 ちょうどサンセットの時間で、デッキの方から鮮やかな夕日が見えていた。デッキに座ってサンドイッチを頬張りながら、マレーシアでの出来事を振り返って思い出し笑いをした。 またバリに戻ると、マルセロやリッキーと一緒に冒険の続きが待ってい […]
少し仮眠を取ったあと、突然ひらめいた。 そうだ! 出会い系アプリ「ティンダー」で情報を集めよう。ティンダーとは海外で有名な出会い系アプリで、登録すると近い距離にいる女性(設定で同性にも変更可能)のプロフィール写真が出てきて、ひとりひとりを「LIKE」か「NO」で振り分けていく。そして、相手も同じようにランダムで男性のプロフィール […]
夜9時頃にマレーシアのクアラルンプールに到着すると、まずは両替所でインドネシアのルピアからマレーシアの通貨リンギットに交換した。それから、宿泊先の近くまで行くバスのチケットを買うためにチケット売り場へ向かう。 列に並ぶと、オレたちの目の前に並んでいる4人グループが英語以外の言語で何やら話しているようだが、なぜか聞き取れる。 そう […]
ビアンカが帰る数日前の午後、オレとゆうやはマルセロに呼び出されてホテルの1階のレストランに座っていた。 マルセロが真剣な面持ちで話し始める。 「ゆうま、ゆうや、お前たち2人に頼みがあるんだ。ビアンカと一緒にマレーシアに行ってくれないか?」 マルセロはオレたちに、バリ島で見つけることができなかったカメラの部品をマレーシアで探して購 […]
インフィニティプールで子どもといっしょにはしゃいでいるうちに、だんだんと日が暮れてきた。 暗くなる前に帰らなければならない。オレたちは帰り支度を始めるのだが、リッキーが一向にプールから上がろうとしない。 「リッキーもう帰るぞ」 「いやだ、オレはもう少しここに残る」 リッキーは相当インフィニティプールのことが気に入ったらしく、駄々 […]
マルセロがレストランで合流して、待ちに待ったドリームビーチでのランチが始まった。 それぞれが注文した直後、マルセロが来る前から怪しくなっていた雲行きが、待ってましたとばかりに活動を開始。 小雨が降り始めたと思ったら、あっという間に目の前の綺麗なオーシャンビューを遮るほどの大雨に変わる。 単に大雨が降るだけではなく、強い風も吹き付 […]