第8話 ビーチに武器商人現る!?

第8話 ビーチに武器商人現る!?

 

 

猛スピードで走るマルセロたちに置き去りにされることなく無事にビーチに着いたオレは、まだ興奮冷めやらぬ中、みんなのあとに続いてビーチに入っていった。

 

 

 

やはりビーチではたくさんの観光客で賑わっている。どこを見渡しても観光客ばっかり。

オレは沖縄で普段から綺麗な海を見慣れているため、白い砂浜があって透き通った色の海がある完璧なビーチを見てもあまり感動はなかった。むしろ、ところどころにゴミが捨てられていて沖縄のビーチのほうが綺麗だと思った。

 

沖縄の人たちは、沖縄の綺麗な海にもっと誇りを持っていいと思う。他国の海と比べても引けを取らない綺麗さだと思う。

 

 

 

みんな席についてさっそくビールを頼んだ。ビールを頼んだあとに気づいたのだが・・・、あれ・・・これって飲酒運転になるんじゃね?笑

まいっか。飲酒運転、みんなでやれば怖くない。(良い子は真似しないでくださいね)

マルセロに確認すると、バリは飲酒運転の取り締まりが緩くて大丈夫らしい。

 

 

 

ビールが運ばれてきたところで、みんなでかんぱーい!!

クー!!! ビーチで飲むキンキンに冷えたビールは格別の味だ。空きっ腹にビールは胃にとってはきついけどやめられない。それから各自で朝食を頼んだ。

 

 

 

ビーチでビールをお供に、旅の仲間と他愛もない会話をしながらの朝食。これぞまさしく至福のひとときである。たくさん喋ってたくさん飲んだ。

帰る頃には、空きっ腹で飲んだため、酒の強いオレでも酒が少し回ってほろ酔い状態になってしまった。

 

 

 

そんな中、少し変わった商品を売るおじさんと遭遇した。

「お兄ちゃんたち、観光かい? 良いもの買っていかないかね?」

と、おじさんが取り出して見せたのは手作りの弓矢。

 

 

 

ただの飾り用かと思っておじさんの話を聞いていると、自分の履いているゴム草履を脱いで、弓矢でそのゴム草履に照準を合わせ始めた。

スパーン!!!

見事に弓がゴム草履に突き刺さった。おじさんがドヤ顔でみんなに弓が貫通したゴム草履を見せる。よく見るとゴム草履には無数の穴が開いていた。

いつも同じように宣伝しているのだろう。

 

 

 

「どうだい、買わないかね? 今なら100万ルピア(日本円約8000円)でいいよ」

あっけにとられているオレたちにさらに商品を紹介してきた。

おじさんはカバンから、刃渡り30センチ以上もある手作りのコンバットナイフを出してきた。

 

 

 

革製のケースからナイフを抜いて、突然、近くの木の枝に向かってフルスイングした。

ズバッ!!! と音が出そうな勢いだった。

瞬く間に分断された枝が重力にしたがって地面に落ちていった。

 

 

 

ん? なんか小さい頃に聞いたような話だぞ。

湖から(海で)女神(おじさん)が現れて

「あなたが落としたもの(欲しいもの)は、金の斧(木製の弓矢)ですか?

それとも、銀の斧(鉄製のコンバットナイフ)ですか?」

 

 

 

こういうものが大好きそうなリッキーが、興奮した様子で

「ちょっとオレにも持たせて」

リッキーはおじさんからナイフを借りると、どうだい、似合うだろうという顔つきでオレたちを見てニヤニヤしていた。

 

 

 

他のみんなは、リッキーがふざけてナイフを振り回しそうと思ったのか少し下がってリッキーと距離を置いた。

リッキーは気にせずにおじさんに

「30万ルピア(日本円約2300円)なら買うけどな」

「そんなんじゃ売れないよ」

「じゃあ買わない」

おじさんは残念そうに去っていった。しかし、すぐに近くの他の観光客に話しかけて売り始めたのだった。

 

 

 

リッキーがナイフを買わないでいてくれたので、みんな安心したに違いない。

やんちゃなリッキーがもしナイフを持って酔った勢いでナイフで遊んだらと思うと、危険極まりない気がした。

 

 

 

とにかく、ビーチで殺傷能力がある武器が手に入るバリ島が凄すぎる。笑

おじさんはどんな意図で武器を売っていたのか気になるところだ。

護身用? それとも戦争を企てているのか?

後にも先にも、バリで武器を売っている人に遭遇したのはこの時だけであった。

 

 

 

再び気を引き締めてバイクを運転しながらホステルに帰った。

帰りは、アルコールの影響か運転に慣れたのか、あまり恐怖心を感じることなくホステルまでたどり着けた。

 

 

 

午後はホステルの近くのショッピングセンターに行って、この旅で何度も重要な役割を果たすことになるグーグルマップを使うために必要なSIMカードを購入した。

オレが手に入れたのは、日本円約1000円で5GB使えて、10分の通話がついていた。

 

 

 

お店のお姉さんが、丁寧にオレのiPhoneのSIMカードを入れ替えてアクティベート

してくれた。ゆうやはさらに大容量な8GBのSIMカードを1500円ほどで手に入れた。

もし、か弱い日本人のオレたちが迷子になっても、無事に目的地にたどり着けるという

安心感を手に入れた。インターネットさえあれば、多少のトラブルにも対応できそうだ。

 

 

 

SIMカードという強力な秘密兵器を手に入れてホステルに戻った。

そのあとは、プールでくつろいだり昼寝をしたりと、それぞれが思うままにゆったりとした午後を過ごしたのだった。