第84話 天罰
宿への帰り道、リッキーが空を見上げながらつぶやいた。 「今日は人生最高の夜だったな」 「うん、間違いないね」 本心ではないが、僕もそれにこたえた。 ナイトクラブでのお互いの健闘を称え合うという美しい男同士の友情なんかではない。 収穫ゼロの男二人の単なる負け惜しみ、現実逃避、現実歪曲(自分の都合の良いように現実を解釈すること。スティーブ・ジョブ […]
人生一度きり。やらかしちゃおう。笑
宿への帰り道、リッキーが空を見上げながらつぶやいた。 「今日は人生最高の夜だったな」 「うん、間違いないね」 本心ではないが、僕もそれにこたえた。 ナイトクラブでのお互いの健闘を称え合うという美しい男同士の友情なんかではない。 収穫ゼロの男二人の単なる負け惜しみ、現実逃避、現実歪曲(自分の都合の良いように現実を解釈すること。スティーブ・ジョブ […]
僕たちは、ついにスカイガーデンという名の戦場に足を踏み入れてしまった。 まあ、ただのナイトクラブなのだが、男にとっては戦場も同然である。世の中に、クラブでワンチャンを狙わない男がどこにいるというのだろうか。狙わなくとも、期待はしているだろう。 純粋に音楽を楽しんだり、みんなで騒ぎたいだけだと言い張る男がいたら、私は、男なら必ず2つ持ってる希望という名の玉を […]
不謹慎ではあるが、主犯格リッキーを筆頭に、僕たちは爆竹で無差別テロを思う存分楽しんだ。 爆竹がなくなる頃には地元民3人衆と打ち解けていて、お互いに自己紹介し合ったはずだが、彼らの名前が難しすぎて僕は覚えていない。仕方なく、3人とも「HEY(ヘイ)」で呼びかけることにした。 僕が小学生の頃に所属していた少年野球チームでは、先輩には「さん」づけし […]
僕が目を覚ますとリッキーがいなくなっていた。 まだスカイガーデンに行くには早いようだが、僕をおいて先に行ってしまったのだろうか。いや、そんなことはないはずだ。 隣でパソコンをいじるゆうやにリッキーの行方を聞いてみると、少し前に酒を持って部屋を出ていったとのこと。 なに、さては僕を差し置いて酒を独り占めする気だな。 暴れ馬のようなスクーターに死 […]
僕とリッキーは大晦日を定番のナイトクラブで過ごすことに大筋合意して、クタのナイトクラブを探すことにした。 大晦日は静かに過ごしたいとゆうやは部屋に残った。3人グループとなってしまった今、心置きなく休めるベストなタイミングに違いない。 情報通の僕は、僕の独自の情報網ーーーグーグルというのだが、を使って、クタではSKY […]
15分ほどスクーターを走らせると、僕たちはチアゴファミリーが宿泊しているホテルにたどり着いた。 「ホテルについたよ。さあ飲もうじゃないか」 僕はホテルの前からチアゴにメッセージを送った。 5分経過・・・応答なし。10分経過・・・応答なし。30分経過・・・よし、帰るか。 結局、チアゴから返信がなかったので、僕たちは宿 […]
今、クタで家族でディナーを食べているところだけど、良かったら一緒にどうだい、というチアゴからのメッセージがあった。 なぜ僕がバリにいることを知っている、僕の動向を逐一Facebookでチェックしているな、さては、オレの隠れファンか、とも思ったが、チアゴはクリスマス休暇で家族でバリに来る予定で、僕とゆうやがバリに来ることを前から知っていたので、 […]
マルセロがいなくなると少ししんみりとした空気になったが、せっかくバリに来ているのだからとことん楽しむべきである。 僕たちは気持ちを切り替えて、明日の大晦日を楽しく過ごせる場所を探すことにした。 観光客に人気で、僕たちがバリで最初に行ったクタのセガラビーチに来た。 相変わらずクタは観光客で賑わっていて、あちこちカップルや家族連れが […]
サヌールに到着したら、僕たちが行くところはやっぱりインディホテルとなる。 というのも、調子に乗った僕たちは、ウルワツへ出発する前に必要なものだけ持っていくために、残ったものをインディホテルに預けていたからである。 すでに常連化している僕たちだから、荷物を預かってもらうという好待遇を受けた。 とまでは、いかないまでもホテルのスタッ […]
15分ほど待って雨が止むと、待ってましたとばかりに僕たちは宿へ向けて出発した。 宿につくと、真剣な表情のアレックスが話したいことがあると全員を集めた。 なんだなんだ、まさか、ビビと結婚します(長い間付き合っているけど、まだ結婚はしてないらしい)とか言うんじゃないだろうな。祝福のリアクションを用意しておかねば、と僕は身構えた。 & […]