第39話 アグン山の頂き

    頂上で日の出を拝もうと、オレたちは疲労困憊になりながらも、過酷な岩場エリアを死に物狂いで登っていた。 軽いハイキングのつもりで来たのだから、手袋を用意しているわけもなく、氷のように冷たい岩を触るたびに、次第に手の感覚がなくなっていく。手を滑らせてしまえば、崖に落ちてゲームオーバーという死と隣り合わせの状況で、かろうじて集中力は保たれていた。     […]

クレイジーハロウィン第7話 ベジータは人気者!?

    バーに入った瞬間に、オレは何か違和感を感じた。それが何なのか突き止めるために、周りを注意深く見渡してやっとのことで気がついた。ここはゲイバーであった。バーのお姉さんたちはみな、オネエだったのである。ヒゲの濃いオネエもいたりと、よく観察するとすぐにわかるものであった。 まさか、韓国で人生初のゲイバーを体験するとは思いもしなかったのである。     &n […]

第38話 頂上を目指して

    休憩のあと、道はさらに急勾配になり一段と険しくなった。 さきほどまでの余裕しゃくしゃくな雰囲気とは打って変わって、誰も口を利かなくなり、みんなのハアハアという息が響き渡る。 時折、列の最後尾で遅れているリッキーを、ガイドのおっちゃんが「がんばれ」と励ます声が聞こえるのだった。       無我夢中で先頭のおっちゃんのあとを着いていく。しば […]

クレイジーハロウィン第6話 ベジータ戦闘開始 in イテウォン

    オレたちは、ハロウィンに参加する前に夕食をとることにした。エイミーとの約束通り、エイミーの部屋に泊めてくれる代わりに夕食代はオレが払うことになった。 さっそくエイミーのお気に入りの居酒屋で少し飲みながら夕食を済ませた。       居酒屋から出ると、外はすっかり暗くなって肌寒い。韓国の秋は沖縄の真冬並みの寒さで、気温は10度強ほど。オレにと […]

第37話 神の山を登る

    車に揺られること約1時間、ついにウブドから目的地のアグン山に到着した。       オレの強みは、いつでもどこでも眠ければどんな環境だろうと寝れること。おかげで、出発30分前までお酒を飲んで酔っていたが、だいぶ回復したようだ。 今は午前1時。車を降りると、いくつか街灯があってオレンジの光があたりを照らしている。ここは山の1400m地点という […]

クレイジーハロウィン第5話 観光地で転がる。転がる。

    オレとエイミーがソウルの観光名所のひとつ、キョンボックンに着いたのは夕方4時過ぎ。徐々に日が沈み始めていた。先程までの太陽の温もりは既にどこかへいってしまって、肌寒くなってきている。 閉館時間まで2時間もないので、チケットを購入して少し急いで中に入った。       門をくぐると、目の前には大きな中門がもうひとつ。沖縄の首里城よりも規模が大 […]

第36話 踊り明かしたいのに・・・

    ウェイトレスのふたりがオレたちの元へ来ると、オレとリッキーは彼女たちに自己紹介した。 「こんばんは。ゆうまとリッキーだよ、よろしく。ふたりの名前は?」       ウェイトレスのひとりは、少し大人の女性のオーラを出しているユナ、そしてもうひとりが、まだあどけなさが残る少女のようなリサ。ふたりとも綺麗な長い黒髪をなびかせている。年はおそらく2 […]

信号待ちで強盗に!?

    それは、ある日曜の昼下がりのできごと。私が車を運転していて、交通量の多い沖縄の国道58号線の左側の車線で信号待ちをしているときだった。 突然、誰かが車の窓をノックしてきた。       信号待ちで車の窓をノックする。それは、ブラジルに住んだことがあるオレが、ブラジル人の友達から何度も聞いたブラジルでの強盗のパターンのひとつである。 ブラジル […]

クレイジーハロウィン第4話 ハングオーバー。なんだここか・・・

    誰かがドアをノックする音で目を覚ました。時計を見てみると、時刻はすでにチェックアウトの時間を指している。一瞬自分がどこにいるかわからなかったが、辺りを見渡してゲストハウスのベッドの上だとわかった。 きっと清掃員が来たのだろう。すぐに出ることを伝えて、とりあえず時間をかせぐ。       ひどい頭痛がしている。どうやら二日酔いのようだ。頭がぼ […]

第35話 寝るのは死んでから!?

    宿に戻ってマルセロがオーナーのおばちゃんに、ウブド観光はどんなものがあるのか尋ねてみた。オレたちは、おばちゃんが紹介してくれたうちのひとつから、なんとなくおもしろそうなアグン山の登頂を選んだ。特に細かい情報は聞かなかった。 それが災難の始まりだったのは、このときは知る由もない。       アグン山へ出発するのは今夜12時。ここから1時間車 […]

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