バリ島の大冒険

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第84話 天罰

    宿への帰り道、リッキーが空を見上げながらつぶやいた。 「今日は人生最高の夜だったな」 「うん、間違いないね」 本心ではないが、僕もそれにこたえた。     ナイトクラブでのお互いの健闘を称え合うという美しい男同士の友情なんかではない。 収穫ゼロの男二人の単なる負け惜しみ、現実逃避、現実歪曲(自分の都合の良いように現実を解釈すること。スティーブ・ジョブ […]

第83話 理想と現実

    ずっと動き回っていたので、のどが乾いてきた。 僕はとりあえずカウンターでビールを買って、一休みしようと座れる場所を探すことにした。     メインフロアを見下ろせる場所にいくつもソファが並べられていて、ゆっくりくつろげそうな場所を発見すると、僕は腰を下ろした。 しばしの間、休憩としようではないか、と思った矢先、6人の男女のグループが僕の元にやってきた […]

第82話 戦場を駆ける

    僕たちは、ついにスカイガーデンという名の戦場に足を踏み入れてしまった。   まあ、ただのナイトクラブなのだが、男にとっては戦場も同然である。世の中に、クラブでワンチャンを狙わない男がどこにいるというのだろうか。狙わなくとも、期待はしているだろう。 純粋に音楽を楽しんだり、みんなで騒ぎたいだけだと言い張る男がいたら、私は、男なら必ず2つ持ってる希望という名の玉を […]

第81話 クラブ活動開始

    不謹慎ではあるが、主犯格リッキーを筆頭に、僕たちは爆竹で無差別テロを思う存分楽しんだ。   爆竹がなくなる頃には地元民3人衆と打ち解けていて、お互いに自己紹介し合ったはずだが、彼らの名前が難しすぎて僕は覚えていない。仕方なく、3人とも「HEY(ヘイ)」で呼びかけることにした。   僕が小学生の頃に所属していた少年野球チームでは、先輩には「さん」づけし […]

第80話 やんちゃな爆弾テロ

    僕が目を覚ますとリッキーがいなくなっていた。 まだスカイガーデンに行くには早いようだが、僕をおいて先に行ってしまったのだろうか。いや、そんなことはないはずだ。     隣でパソコンをいじるゆうやにリッキーの行方を聞いてみると、少し前に酒を持って部屋を出ていったとのこと。 なに、さては僕を差し置いて酒を独り占めする気だな。 暴れ馬のようなスクーターに死 […]

第79話 暴れ馬を乗りこなす

    僕とリッキーは大晦日を定番のナイトクラブで過ごすことに大筋合意して、クタのナイトクラブを探すことにした。     大晦日は静かに過ごしたいとゆうやは部屋に残った。3人グループとなってしまった今、心置きなく休めるベストなタイミングに違いない。     情報通の僕は、僕の独自の情報網ーーーグーグルというのだが、を使って、クタではSKY […]

第78話 バリに生まれるべきだった!?

    15分ほどスクーターを走らせると、僕たちはチアゴファミリーが宿泊しているホテルにたどり着いた。     「ホテルについたよ。さあ飲もうじゃないか」 僕はホテルの前からチアゴにメッセージを送った。     5分経過・・・応答なし。10分経過・・・応答なし。30分経過・・・よし、帰るか。 結局、チアゴから返信がなかったので、僕たちは宿 […]

第77話 バリで聞く沖縄の怖い話

    今、クタで家族でディナーを食べているところだけど、良かったら一緒にどうだい、というチアゴからのメッセージがあった。     なぜ僕がバリにいることを知っている、僕の動向を逐一Facebookでチェックしているな、さては、オレの隠れファンか、とも思ったが、チアゴはクリスマス休暇で家族でバリに来る予定で、僕とゆうやがバリに来ることを前から知っていたので、 […]

第76話 バリのファーストフード店の集客方法

    マルセロがいなくなると少ししんみりとした空気になったが、せっかくバリに来ているのだからとことん楽しむべきである。 僕たちは気持ちを切り替えて、明日の大晦日を楽しく過ごせる場所を探すことにした。       観光客に人気で、僕たちがバリで最初に行ったクタのセガラビーチに来た。 相変わらずクタは観光客で賑わっていて、あちこちカップルや家族連れが […]

第75話 マルセロとの別れ

    サヌールに到着したら、僕たちが行くところはやっぱりインディホテルとなる。 というのも、調子に乗った僕たちは、ウルワツへ出発する前に必要なものだけ持っていくために、残ったものをインディホテルに預けていたからである。 すでに常連化している僕たちだから、荷物を預かってもらうという好待遇を受けた。       とまでは、いかないまでもホテルのスタッ […]

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